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『特等席教えてあげる』って言って
センパイが連れてきてくれたところは外階段だった
ミルクティーを持ったまま
言われるがままに来たけれど
べつにわたしはサボる予定じゃなかったのに…ってちょっぴりフクザツなきもち
紫耀「ほら、ココからだと校庭が見渡せていいでしょ」
たしかに、3階からだから校庭全体が広く見渡せて
競技は大盛り上がりだけど、ここはちょうどいい静けさで
・・・校庭から見るよりよりいいかもしれない
リンゴジュースのパックにストローをさして
一口飲んで『うまっ！』って目を丸くしたセンパイ
ミルキーくれたりリンゴジュース飲んだり
センパイって意外と甘党なのかも
校庭では2年生の二人三脚が盛り上がりを見せていて
それを見ながらわたしもミルクティーのパックにストローをさした
「いただきます…」
紫耀「どーぞ」
ミルクティーの甘い味が広がる
紫耀「ウブちゃんは1年生？」
「はいっ、そうです」
紫耀「競技、なんだっけ」
「玉入れです」
階段の手すり部分に腕を預けて
ちゅーちゅーリンゴジュースを飲みながら
髪をかきあげるセンパイ
紫耀「玉入れか〜めんどくさくない？」
「わたしは小さいし運動音痴なのであんま活躍できなくて…」
ふふって伏し目がちに微笑んで
なるほどね、って言うみたいに眉を上げたセンパイ
センパイの茶色の髪の毛も、太陽の日差しも、
キラキラとまぶしい
センパイは無理にたくさん話そうとしないで
時々『おー』とか言いながら校庭の競技を見ていた
2年生は、サッカー部の人たちくらいしか知らない
廉くんが大好きな岸さんとか
いつもクールな目黒さんとか
いないかなーって校庭を見下ろす
紫耀「体育祭って、青春だ」
「ふふ(笑)」
センパイの声には不思議な心地よさがあって
穏やかな空気が
初夏の風と一緒に
まざって
まざって
ミルクティーの甘さと一緒に
わたしたちを包んだ
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作者名：エリ
| 作成日時：2022年6月23日 0時
