◇・*。放課後のシンデレラ。*・◇ (ページ34)

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「こ、こんにちは…」

突然再会したことに驚きを隠せなくて

手にもった日直ノートと世界史の教科書をぎゅっと握りしめる

　

紫耀「教室間違えた？(笑)」

センパイがいたずらっ子みたいに笑って

揺れた前髪に夕暮れが反射して、キラキラと光った

「これを教卓に置いとくようにって、向井先生に言われて・・・」

紫耀「なにそれ？」

「日直ノートだと、思います…」

よく知らない先輩だし、

会うのは2回目だけど

やっぱりちょっぴり怖くて

声が消え入りそうになる

・・・センパイ、ここが教室ってことはやっぱり3年生だったんだ

紫耀「ふぅん～

そんなん、ジーコが自分で持ってくればいいのにね？(笑)」

センパイはわたしが緊張していることなんか全然気にしていないふうで

じっとわたしのことを見つめる

ぺこっとお辞儀をしてから

センパイの横を通りすぎて

教卓の上にたのまれていた日直ノートを置いた

同じ教室のはずなのに

やっぱり、別世界みたい・・・

空気も匂いも違うもん

「…じゃ、じゃぁ、失礼します…っ」

紫耀「あ、ねぇ」

急に呼び止められてビクッと体が反応すると、

紫耀「家庭科、得意？」

「…え？」

紫耀「これをさ、ぬおうとしてるんだけど・・・いてっ」

ちょいちょい、って手招きされた

…おそるおそる、

センパイの机に近づくと

机いっぱいに広げられたTシャツに

色とりどりのボタンや糸が散乱していた

紫耀「家庭科の提出物でさ、明日の2時間目で出さなきゃなんだけど」

見てみると

Tシャツのあちこちに不器用に縫われたボタンは

今にもとれちゃいそうだ

「ふふっ…」

センパイの苦労がちょっぴり見えた気がして

思わずほほえむと

…それが合図みたいに

センパイがとなりにあった椅子を引いて

ここに座って、っていうみたいにそれをぽんぽんってした

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