ホトケノザ (ページ48)

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『帰りたくない』なんて
丈くんが言うとは思ってもいなかった。

しかも
恋人繋ぎされるなんて
もっと思ってもなかった。

ギュッと絡ませた指を丈くんが離してくれないから
俺も丈くんの隣に

ぽふっ
と横になる。

2人して上を向いてるこの状態。

なんかおもろいな笑笑

『なぁ』

「ん～？？」

『今日な、なんか俺
珍しくメンタルやられてんねんか』

「あ～稽古？」

『そー稽古。

やってけるかなって急に不安なって

でも大橋見てたらいける気がしてきた
笑っちゃうねん大橋のこと見てたら』

「…俺の顔そんなおもろい？」

『おもろいんと違うくて
顔見ると安心するねん、ほんまに』

「…ほんま？
俺じょうくんの役に立ててる…てこと？」

『うん
だからさ、大橋にはそのままでおってほしいなって

ずっと俺の隣で笑っててほしい
って思ったって話』

上を見たままの丈くんの目はしっかりと見開かれていて

「…うん、

じょうくんと2人でこの仕事任されたってことはさ
支え合わなあかんってことやと思うねん俺

やから…じょうくんが嫌って言ってもずっと隣におるから！！！笑」

『いや、嫌がってたらやめたってや。笑

ほんで大橋が笑顔でおれへんようになったら、
俺が…助けるから』

「……うん

ありがとう。」

隣にいる丈くんの横顔はいつも通りかっこいい。

「ほっぺ、ちゅー…していい？」

『俺見てたらしたくなった？笑』

「だってかっこいいんやもん」

『いいよ、はい』

口角を上げて目を閉じた丈くんのほっぺに

ちゅ

口をつける。

目を開けた丈くんがこちらを向いて

『ほっぺだけでいいん？』

ニヤリと笑うから
なんか恥ずかしくて

「うん、まだほっぺだけでいいや」

すると

『俺はしたいけどなーーー
ここ』

と言って俺のほっぺを両手で包んで
俺の口をひよこのように尖らせる

「へえ、ひょっとま…」

『待たへん』

目の前には急に近づいてきた丈くんの顔

温かい感触が唇にダイレクトに伝わって

ドクドクと心臓がなる。

丈くんのキスは
びっくりするほど優しくて、でも長くて。

ちょっと息が苦しくなってきたところで

俺の唇を少し包むように優しく触れる丈くんの唇が

ちょっと名残惜しそうに離れた。

『はい、終わり

目開けていいで』

「もうじょうくん…
急にしやんといてや」

『えー嫌やった？』

なんていたずらっ子みたいな顔で聞いてくるから
丈くんはずるいよな