気紛れな彼女達：賢者の石 (ページ21)

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「だめだ!!いかん…！次は黒壇と一角獣のたてがみ。27センチ。バネのよう。さぁ、どうぞ試してください。」

ブゥオッ！！

さっきから何回も続けられる杖の押収を眺めレイが肩で眠そうにしているハルの頭をなでた。

「～～～…っ。」

突然大きくなった炎にハリーは訳も分からずあたふたと杖を返す。

「難しい客じゃの…。心配なさるな。必ずピッタリ会うのをお探ししますでな…。さて････、次はどうするかな…。」

とオリバンダーが顎を撫でるとふと思い出したかのように顔を上げた。

「おお、そうじゃ…。めったにない組み合わせじゃが、」

そう言ってオリバンダーはまた奥に引っ込んでいった。それを機にハリーは不安げにハルとレイに振り返る。

「････大丈夫だよ、ハリー。」

ハルは安心させるように声をかけた。それと同時にオリバンダーが戻ってきたのでハリーは小さく頷いてまた前を向く。

「柊と不死鳥の羽根、28センチ、良質でしなやか。」

「―――…。」

差し出された杖にレイは見定めるように薄らと瞳を細めた。すると

ブゥアアア…

杖の先から赤と金色の火花が花火のように流れ出し、光の玉が踊りながら壁に反射した。

「・・・・・」

その光に誘われるようにハルがゆっくりと瞳を開ける。その瞳の影に映った光景はいつの日かの記憶だった。

「･･･････カゲ‥？」

「ハル？」

ぼんやりとした思考の中でハルが呟いたその言葉にレイが気付く。その時

「ブラボ――！！」

ハグリットの大きな拍手と歓声に2人は大きく肩を揺らした。

「ポッターさん。わしは自分の売った杖はすべて覚えておる。全部じゃ…。」

語り出すオリバンダーの声に緊張が高まる。

「あなたの杖に入っている不死鳥の羽根はな、同じ不死鳥が尾羽根をもう一枚だけ提供した―――…たった一枚だけじゃが。あなたがこの杖を持つ運命にあったとは、不思議なことじゃ。兄弟羽が････なんと、兄弟杖がその傷を負わせたというのに…。」

その言葉の意味を悟ったハリーにレイはハルに聞こえる程度に小さく口を開いた。

「柊に不死鳥････、餓鬼払いに永遠の“生”―――…。」

「････“生”を繋ぐ･･絆…か。」

レイはお互い視線を合わせることなく言葉を交わす。

「これが････」

小さく息を感嘆の息を漏らすハリーの身体が震えを上げた。――･･杖は託された。