平凡な女子高生と4人の先輩。 ページ6
「…………」
現在、一年の部員達が上半身裸の状態で並んでいた。
そして彼らを順番に見ながら相田先輩がゆっくり歩を進めている。
シュールすぎる光景だなオイ。
傍観する先輩達の隣に立ち、無表情を保ちながら心の中で目の前の景色に突っ込んだ。
その間にも彼女は「反復横跳び50回/25sec」「フロ上がりに柔軟」と、男達の上半身を見ながら次々トレーニング内容のようなことを言っていく。
「マジで…!? 合ってる…」
「どゆこと!?」
「てか体見ただけで…?」
合ってるんだ………というか、自分のを把握して「合ってる」って言える方も十分すごい気がするよ私は。
にしても、これは一体……?
「驚いた?」
内心首を傾げていると隣にいた先輩にそう聞かれた。
突然聞かれたことに驚きながらも、コクッと頷く。
この先輩の名前は一体…?
「カントクのお父さんはスポーツトレーナーでさ、その影響で、体格を見れば身体能力が全部数値で見えるんだって」
「え………すごいですね」
こういう場面じゃ「そうなんですか!?」とか「すごいですね!」とかもっと大げさ言うところなんだろうけど、私はコミュ力も勇気もないので無理。
代わりに、更に驚いたということを示すように軽く目を見開いた。
視界の隅では、眼鏡の先輩も同じように新入生部員に説明をしている。
「オレも初め聞いた時は驚いたな〜。
すごいよね、カントクの眼」
「おいコガ……いきなり話しかけられて小野さん戸惑ってるんじゃないか?」
「別にいーじゃん伊月。説明しただけなんだし」
「………………………」
「え? せめて自己紹介した方がいいって?」
今の沈黙で一体何を理解したんだろうかこの人は。謎である。
「いきなりごめんなー、小野さん。コガはこういう奴なんだ。オレは土田聡史。よろしく。」
「あ……はい……」
「あ、オレは小金井慎二! 皆からは「コガ」って呼ばれてる!」
「オレは伊月俊。よろしくな」
「……っ、よろしくお願いします」
一瞬言葉に詰まりながらも言って、頭を下げた。
「そんなかしこまらなくていいよ。
うちはまだ三年もいないし、気楽に話してくれれば」
「いやけど、先輩なので……」
「もー、全然いいんだってー」
「…………」
「ほら、水戸部も気を使う必要ないって!」
だからなんで水戸部先輩何も言ってないのに分かるのこの人。
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彩夏(プロフ) - 更新とても楽しみにしていました!続編でも頑張ってくださいね! (2017年6月7日 22時) (レス) id: a1d1edfed6 (このIDを非表示/違反報告)
夜叉〔刹叉〕(プロフ) - 黒バスの映画で号泣しちゃいました……(´;ω;`)これからも応援しています!頑張ってください!(小説書くのってむずかしいですね……) (2017年6月7日 20時) (レス) id: 0f137dda1a (このIDを非表示/違反報告)
さあや(プロフ) - 私もアニマックスで黒バス見ましたーやっぱり最高ですね! (2017年5月24日 18時) (レス) id: 54580b9dce (このIDを非表示/違反報告)
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