第8話 ポジティブの鬼 ページ8
「ハハハハッ！仙道はこの天才桜木が倒ーす！！お前らついて来ーーい！！ガハハハハハ！！」
部活の練習の最中。
突如体育館中に響く桜木君の愉快な笑い声。
「おめーがついてくんだよ、どあほう。」
それとは反対に、広い空間には全然響かない流川君の声。
「くっ…ルカワ…！」
それでも桜木君の心には全然響いているみたい。
メラメラと敵対心を燃やして彼を睨みつけている。
こんな新入生2人のやりとりも、今やもう慣れっこである。
正直なところ、現時点までの桜木君のプレーは、ほとんど何もかもが空回りばかりだ。
ついこないだバスケを始めたばかりなのだから、全くもって仕方のないことなのだけれども。
やることなすことが、ことごとく裏目に出る。
その姿はまるで自分を見ているようで。
なんとなく彼の感じているであろう悔しさやもどかしさが、どうにも他人事とは思い過ごせない時がしょっちゅうある。
勝手に重ねてごめんね、桜木君。
それでも彼は、私のように落ち込んだり卑屈になったりすることは滅多にない。
むしろ持ち前の自信は勢いを増すばかりだ。
そんな桜木君のポジティブさには、赤木キャプテンをはじめとする部員勢員がドン引きすることも少なくはない。
どっからその自信が湧いて来るのかと。
けれども私は彼のその根拠のないポジティブ精神に密かに強く憧れていた。
自分にはない桜木君の強さだ。
強い人って内側からキラキラと輝いていて、とても魅力的だと思う。
そんなこんなで今日も湘北高校バスケ部は、週末に控える三浦台高校との試合に向けて、練習に気合いを入れていた。
私もマネージャーの仕事、頑張らないと！
「よっ…！とりゃあー！」
宮城君は今日も相変わらず素早い動きで的確なパスを出している。
はあ…カッコいいなあ…。
私はタイムキーパーと記録をしながらその様子をじーっと見つめていた。
あっ、またファインプレーだ！
「宮城君ナイスーー！！！」
思わず私は声援を送る。
「…アヤちゃん…！見てたかなあ…！」
しかし当の本人は練習中にもかかわらず、彩子の方を振り返ってそんなことを呟いている。
宮城君には私の声なんて1ミリも届いちゃいない。
彩子の方ばっかり見て、ポワポワと周りにハートを飛ばしている。
一方、彩子はそのことに全く気付かずに他の部員と話していた。
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わた丸(プロフ) - メガネさん» そう言って頂けて大変嬉しいです。不定期で申し訳ありませんが、完結まで更新頑張ります！ (2023年2月27日 16時) (
レス) id: 889abdf4ce (このIDを非表示/違反報告)
メガネ - 夢中になって読みました。ありがとうございます。続きが気になりすぎる (2023年2月27日 1時) (レス) @page30 id: 434307a1aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わた丸 | 作成日時：2023年2月5日 14時
