・ ページ2
初めて抱き上げた彼女の身体は想像の何倍も軽くて、小さくて、細くて心配になった。
俺の腕の中で段々と苦しそうな姿になっていく彼女に、俺も今まで感じた事のないような苦しさを感じる。
どうすればいい?
どうすれば彼女を救ってあげられる?
今まで壊す事しかしてこなかった俺には守りたい大切な存在の扱い方なんてわからなかった。
ましてや、好きな女への接し方も。
生き延びるためなら何でもした。
仕事で好みじゃない女を抱いた事もあった。
どうなってもいいと思ったから、乱雑に扱って捨てるように別れた事も覚えている。
俺は今まで孤独だった。
俺の傍で寄り添ってくれるような人なんて居なかった。
両親も、小学校3年生の頃に2人揃って死を選んだ。
「っ………はぁ…」
きゅっ、と服を弱々しく掴まれる。
「……ね、す………さ…」
とくん、と心臓が脈打つ。
久しぶりの感覚だ。
「………ん?」
怖がらせないように、壊さないように。
そう思いながら発した声は、自分が思っていたよりも小さくて、優しい声だった。
「………あのね……」
会いたかったんです、と消えてしまいそうなほど小さな声が俺の耳に届く。
「………そ」
会いたかったよ、俺も。
その言葉が言えなくて、冷たい態度をとってしまった。
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:hoshina
作成日時:2023年5月6日 23時