・ ページ32
「………やりたかったなぁ」
翠が見ているのは、東京ドイツ村のアスレチックだった。
翠の足では厳しい物だろう。
「翠、向こう行こう」
「……うん」
遊園地のようにアトラクションも結構ある。
バズーカー砲で遊んだり、ちょっとしたアトラクションで遊んで、ゲームセンターでも楽しんだ。
それから、動物達にエサをあげた。
翠は鳥が苦手だ。
俺の後ろに隠れてチラチラ鳥を見る姿は可愛かった。
観覧車に乗り、お昼ご飯を食べて海ほたるを目指す。
「……翠、真面目な話なんやけど」
「…うん」
「……熱愛報道、出たら……翠を傷つける事になる。
それは絶対に嫌やねん」
「……うん」
「せやから、マネージャーと社長に報告しようと思う」
「………」
「それでも、ええ?」
翠は酷く迷っている様子だった。
そりゃそうだ。
1度芸能界から消えた自分が、菅田将暉と交際を発表していいのか。
悩む気持ちはわかる。
熱愛報道という最悪の場合を防いだとして、俺から報告した時に世間はなんて言うだろうか。
祝福の声だけでは無いだろう。
必ず批判する人がいる。
翠の場合は、状況が状況だけに。
「………その報告、私も……行っても、いい?」
「……え」
てっきりイエスかノーで返ってくると思っていた。
予想外の反応だ。
「……ええよ」
「…じゃあ、いいよ」
翠の表情は真剣そのものだった。
56人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:hoshina
作成日時:2019年10月7日 19時