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EP3 ページ12
たまに、夢を見る。
2年前の夢だ。
あの頃の私は、本当に仕事が楽しかった。
だけど、それと同時に酷く怖くも感じていた。
誰かに大きく期待を掛けられる事が苦手なのだ。
誰かに見られて、失敗する事が何よりも怖かった。
小学校の頃、クラス全員の前で誰でもわかるような問題を間違えた。
一瞬の沈黙の後、クスクスと笑う声が聞こえるようになる。
それは次第に大きくなって、確実に私の心を殺していった。
……同じだ。
私は、舞台という失敗出来ない世界で、何千・何万人の人の前で失敗してしまったらどうしよう。
そんな心配事1つで心が弱りきってしまったのだ。
「あの子、恥ずかしいね」
ふとそんな声が聞こえてきた。
「芸能界引退は逃げだ」
「あんな失敗した後にノコノコ出れないもんねぇ」
「プライド高かったんじゃない?へし折られて凹んでんだ」
私は耳を塞ぐ。
けれど、声は余計に大きくなって、どんどん騒がしくなっていく。
辞めて。
うるさい、うるさい。
もう、辞めてよ。
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作者名:hoshina
作成日時:2019年10月7日 19時