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次の日、澪奈の席は一日中埋まらなかった。

本当に死んでしまったようだと、今更になって理解する。

この日はイジメの度合いが軽かった。

少なくとも、澪奈の死は何かの影響を与えたらしい。

明日は土曜日。

誰にも知られず、こっそりと、家の中で力尽きよう。

本当は昨日死のうと思っていたけれど、この日の澪奈の死は想定していなかった。

教室のロッカー、引き出しを整理した。

私が死んだ後、見られて恥ずかしいものが残らないように。

同じように、美術室に置いてあった私物も整理をした。

この空間は、私にとって第2の家だったから、物が多い。

「先生、さようなら」

「……待て」

先生が引き止めた。

…なんとなく、わかってたんだよ。

先生がそんな風に理解してしまう事も。

今の「さようなら」は、普通の生徒が言うような「また明日」なんて意味じゃない。

本当の本当に、この世から「さようなら」って意味だ。

「………また、月曜日な」

私は少しだけ笑った。

「ねぇ、先生」






ねぇ、先生。

私は、この空間が好きだったよ。

私は、貴方と話すあの時間が好きだったよ。

私は、貴方の描く世界が好きだったよ。

私はきっと、貴方を本当の意味で気に入っていたんだよ。

雑魚だと弄られる癖に、何処までも鋭くて、芯から強い貴方が。







「……月曜日には、私はもう居ないかもしれないよ」

この世界から。









「……だから、さようなら、なんだよ」









先生は、何も言わなかった。

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設定タグ:3年A組 , 柊一颯
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hoshina(プロフ) - 翔。さん» ありがとうございます!!これからも、ちょくちょく僕の書きたい3年A組書いていきます(*´ω`*) (2019年2月7日 6時) (レス) id: 5593419b1c (このIDを非表示/違反報告)
hoshina(プロフ) - ミニストップさん» お返事、遅くなってしまいすいません……。確かに、凄い芸術家ですね!多分、柊先生がそういった道を進めるかもしれません(*´ω`*) (2019年2月7日 6時) (レス) id: 5593419b1c (このIDを非表示/違反報告)
翔。(プロフ) - 泣きました。うまく伝えられないけれども、私的にはとても綺麗な終わり方で素敵だと思いました。これからも友梨ぃさんの気の赴くままに素敵な作品を作っていってください。 (2019年2月7日 4時) (レス) id: da07f661b6 (このIDを非表示/違反報告)
ミニストップ - 話の内容に関係あるかわかんないんですけど、大野ちゃんが生きてたら、多分すごい芸術家になってたと思います…筆がないから手で書くなんて、発想がもう素敵です…好きです… (2019年1月25日 17時) (レス) id: 1c29926d87 (このIDを非表示/違反報告)
hoshina(プロフ) - 世恋さん» あっ…………あれ、おかしいな(笑)絶対に「夜」なんて出てこないような変換したのに……間違えてごめんなさい……:(;゙゚'ω゚'): (2019年1月20日 22時) (レス) id: 5593419b1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:☆友梨ぃ☆
作成日時:2019年1月18日 20時

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