第七十七話「教団」 ページ30
「…手前がそんな事言うと寒気がするな。で、なんだ?お前は俺にそんな事を言うって事は、今度こそ俺を殺しに来るって事か?」
そう言うとエリックは真剣な顔になり、その場に腰掛ける。
「まぁ、最初は程よく殺すつもりだったが。元々お前の本来の実力は知っているし、そんな体になった以上色々察するものがある。それに、今お前は人助けの手助けをしているんだろう?なら、別に殺す必要は無いしな。」
「それ言うならAの事ボコスカ殴んなよ。一応病み上がりなんだからな。」
エリックはキョトンとした顔をし、少し頬を緩めた。
「…お前と中本に言いたい事がある。サンドバッグは終了だ。」
「あ?早いな。歳か?」
「馬鹿野郎。アソコ見ろ。」
親指でエリックは訓練所の強化硝子が貼られた休憩室を差す。そこには血相変えて窓にへばり着くホクロ眼鏡が居た。
「幾ら私が修理費を出すとは言え、訓練場は誰でも使うからな。」
周囲を見渡すと瓦礫が散らかり床は禿げ、壁には穴が開き至る所に血がへばりついていた。
「か、可哀想…。」
面談室にて。
「中本は起きそうか?」
コーラ片手にボコスカ殴った相手を心配する怪獣。
「まーたグッスリマナーモードだよ。どうしてくれんだ。」
「弱いなぁ此奴。無理も無いが。それじゃあ『教団』に勝てないぞ。」
そう呆れてコーラを一気飲みするエリック。それより俺はとある単語に意識がいった。
「『教団』?」
俺がエリックにそう確認すると、真面目な顔つきになり、コーラの空き缶を其処等辺に投げ捨てる。
「ああ。あの『教団』だ。噂でよく聞くだろ?表向きは何処にでもある祓魔師集団。裏の顔は世界で暗躍する便利屋。お前は何度か戦った事があるだろ?」
「いや、あるけどよ。横浜に来て何が狙いだ?」
「お前だ。」
その場は静まり返り、カランと空き缶が転がる音が響く。
「お、俺?なんでだよ。て、てかお前異能犯罪対策機関の偉いさんなんだろ?!助けろよ!!」
「噂でしかないんだぞ。どんなにその情報を聞いても彼奴らはその証拠を残さない。手が出せるのならとっくの昔に出てたさ。きっと、この後『教団』が探偵社に殴り込みに来るだろう。」
「…俺をどうする気だ?」
「さぁ?ま、お前は中本がお気に入りらしいが、彼女を一番に守れるのはお前自身だからな。」
俺は頭を抱え、唇を噛む。
「それとそうだ。コーティア。お前の体の話なんだがな。」
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肉塊(プロフ) - 低鈴さん» 好きになってもらって何か嬉しいです。連載までまた少し待ってください。これから飛ばします (2022年12月11日 20時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
低鈴 - 何かめっちゃすきいぃぃぃ!ってなりました!更新頑張って下さい!応援してます! (2022年12月11日 20時) (レス) id: 8c328be9ea (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 花陽さん» いつも本当にありがとうございます。これからもまた心臓に悪い展開を続けていきますので何卒〜 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
花陽(プロフ) - 続編おめでとう御座います、【熱】の血の花嫁編も佳境に入ってきまして、とても楽しく読ませて頂いております。此からも応援してます! (2022年7月29日 23時) (レス) @page1 id: 7fe3a7997e (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» うぃ〜‼️ありがとうございます‼️これからも驚かせていきます! (2022年7月29日 22時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2022年7月29日 21時