お誘い 【Mr.ダルメシア】2 ページ6
『ダ、ダルメシアさん!?』
｢よーし！じゃあ紅茶飲みに行こう！｣
『わ、私は歩けますよ!?』
そんなのお構い無しなのか、それとも聞こえていないのか、はたまた両方なのか……ダルメシアさんは所謂、お姫様抱っこをしてエントランスから離れた。
────────────…………
｢……何してるの？｣
｢A、連れてきたよー！｣
ティータイムの準備をしていたらしいジャックハートさんが眉間にシワを寄せて私達を見た。彼なりに状況を把握しようとした結果、何もわからずに質問をしたということだろう………
｢とにかく、中入ろうか｣
｢うん！お邪魔するね！｣
『その前に降ろしてください！』
恥ずかしさのあまり、顔を手で覆って言うと｢降ろしてあげれば？｣とジャックハートさんがティータイムに出すであろうクッキーを片手に私の目の前にチラつかせた。指の隙間からみえるそのクッキーはハートを象ったものだった。私は餌付けをされているのか？
｢逃げないならいいよ｣
頭上から落とされた言葉。楽しそうに、けれど寂しそうに聞こえる。
『私、逃げたことないのですが……』
｢散歩に行こうって言うと逃げるじゃん……｣
『あ、あれは……』
言葉につまった。仕事等の需要以外で外出を控えて仕事に専念しているあまり、ダルメシアさんから逃げるような接し方をしていたようです。言い返す言葉もなく、ダルメシアさんに謝罪をする。
『すみませんでした……明日はリクルーティングないので散歩、しませんか？』
｢ヤダ｣
『はい!?』
ダルメシアさんは、驚いた私をゆっくり降ろした。ジャックハートさんが｢おかえり〜｣と目線が先程よりも低くなった私を見下ろして言った。それを無視してダルメシアさんを見る。
｢僕に誘わせてよ、僕が行きたいんだ……改めて、散歩に行かない？｣
『……ええ、喜んで！』
｢……うーん、めでたしめでたしだけど、ボクのこと忘れないでくれ〜｣
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作者名：東雲大我 | 作成日時：2018年10月22日 2時
