Happy Villains Story!!【短編集】 (ページ5)

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お誘い【Mr.ダルメシア】ページ5

｢Aーー！｣

とある昼下がり。今日はリクルーティングが休みで私はいつものエントランスのソファに座り、たしなむ程度にクロスワードやロジックをやっていた。あと一つだけ当てはまらないクロスワードの文字を考えている時にダルメシアさんが現れたので、ペンを栞代わりに挟んでやっていたページを閉じた。また散歩のお誘いだろうと思いながら笑顔を見せる。

『はい、ダルメシアさん』
｢Aは紅茶好き？｣
『……はい？』

予想外な質問に対し、腑抜けたような声を発してしまった。どうなの？とダルメシアさんは顔を近づけて再度聞いてくる。

『え、ええ……好きですよ、紅茶』
｢ホント？！それは良かった！さっき、ジャックハートにお茶でもどうかって誘われて、どうせならキミも呼んでワイワイするのはどうかなって思ってさ！｣

あぁ、なんて嬉しそうに言うんだ……今は人間の姿だから見えないはずの尻尾が見える……そんな事を思いながらダルメシアさんの言葉を待つ。すると、手を差し出して、にっこりと微笑む。ヴィランズ特有の笑みではなく、心からの歓迎を表す顔だ。

｢お手をどうぞ、A｣

その姿はまさに紳士。差し出された手をとり、立ち上がろうと前に体重をかけた瞬間に体が宙に浮き、目の前にダルメシアさんの顔があった。その顔は、まるでイタズラに引っかかった相手を見て喜ぶ子供のようだった。