2 【Mr.V】 ページ34
──虚ろな目──
何を捉え、何を感じているのか……目に入る光を反射しても煌めきにはならない。スキャターが私のところに来るまで、この子をそばに置いていたが、何をしても特に変化もない状況により、ヴィーラから馬鹿にされていた。｢見る目がない｣だってさ。
｢あんな子、早く捨てちゃいなさいよ｣
｢それが出来たらしてるさ｣
｢なに、情でもあるの？ヴィランズのクセに？｣
蔑むように笑うヴィーラを少し睨んでからため息をつく。確かに情がわいているのかもしれないなぁ……でも、会ってそんなに話したり、行動した時間はほぼ無い。じゃあ、どうして？
そんな疑問が解決する事もなく、私はスキャターを助手として迎え入れた……その時にAは｢友達になりたい｣と言ったのだ。見たことのない目の煌めきに圧倒され、スキャターも唖然としながらAの腕の中にいた。
｢離してやりなさい……｣
『ミスターもお人が悪い！この子を助手にして私を用済みにしようとしているのね?!』
｢人聞きが悪いし、そんなことしないから……｣
『ええ、知ってますよ！ミスターは優しいですから、私と同じ人間の女の子を助手に迎え入れたんですよね？』
何この子、めっちゃ喋る。
……まあ、スキャターを迎え入れた私の判断は間違えていなかったようで、2人を育てるのは大変ではあるが、Aは見違えるように著しい成長を見せた。スキャターはドジを踏んだり、うっかりが見えたりして注意していると、Aはスキャターに駆け寄って励ましたり、スキャターの分を手伝っているのだ。スキャターに一体何があるのかと不思議に思っていると、窓に1羽のカラスが止まっていた。口に何かを喰わえており、それを受け取るとそのカラスは燃えて消えた。それを見たスキャターは変な声を出してAに抱きついた。
｢────……ああ、なるほど｣
｢ミ、ミスター……？｣
『仕事ですか？依頼人は？』
｢……2人とも、すぐ準備をして向かうぞ｣
『……答えになっていません、何を準備しろと？』
Aの言葉に同感したスキャターも大きく頷いていた。
｢これから、人間界へ向かい……リクルーティング活動を行う！｣
『｢リクルーティング活動……？｣』
｢今、ヴィランズの世界は手が足りていない……そこで、人間を招待して引き込もうというものだ｣
｢で、では……依頼人は？｣
｢ディズニー・ヴィランズのマスター達だ｣
そう言うと、Aの目が怪しく光った。
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作者名：東雲大我 | 作成日時：2018年10月22日 2時
