続きは今夜 【Ms.ハーデス】2 ページ21
『今日のアレは酷くないですか？』
｢アレって何かしら？｣
とぼけないで下さい。と手元を見ながら言うとハーデスさんのクスクスと笑う声が聞こえた。
単にハーデスさんの部屋で短時間で遊べるカードゲームやボードゲーム等を2人で遊ぶだけなのに……あんな言い方、しかも怪しい笑みを浮かべて言うなんて……と思いながら｢ご自由にお使いください｣と丁寧な字で書かれたメモとトランプが談話室のテーブルに置いてあったのを見つけたので、ハーデスさんと談話室で遊ぶことにした。神経衰弱、七並べ……スピードに戦争をして遊んだ。
｢それにしても、このトランプ……彼のよね？｣
『……そうですね、ジャックハートさんのかも知れませんね』
｢ハートの女王に仕えるトランプ兵、って事よね？｣
『ハーデスさんが燃やそうとすれば、ジャックハートさん来るんじゃないですか？』
笑ってそう言うと、ハーデスさんの動きが止まる。冗談ですよ。と言おうとするが、その口が開こうとしない。心のどこかで密かにそう思っていたということだろう……そうだ、私は
『……燃やしてみましょうよ、ね？』
ハートのジャックをつまんで揺らす。これを燃やしたら、ジャックハートさんはどんな顔をするのだろう。怒るかな、泣いてしまうかな、それとも……
｢あーーー！こんな所にあった！｣
談話室の開けっ放しのドアからジャックハートさんが現れてテーブルに散らばったトランプをかけ集めてケースに収納した。あまりの手際の良さにハーデスさんは呆然としていた。
｢もう、どこに行ったかと……｣
｢このメモを書いたのは、あなたじゃないの？｣
｢……書いてないよ、そんなメモ書き｣
｢林檎かな｣と嫌な顔をしてハーデスさんに礼を言ってから談話室を離れようとする足音が鳴り始めるが、その音は途切れて｢そうだ｣と振り返って私に歩み寄るジャックハートさん
｢
『……ええ、お返し致します』
｢ありがとう｣
胸ポケットに隠しておいたハートのQを返すと、今度こそ談話室から出ていったジャックハートさん。それを見送ったあと、ハーデスさんが一言
｢早く仲直りしなさいよ？｣
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作者名：東雲大我 | 作成日時：2018年10月22日 2時
