【リボーン】また還るまで、さようなら。【雲雀恭弥】 (ページ4)

今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:9,396 hit

からっぽは笑う。ページ4

「……そんな事言ってもさ、結局は体操服忘れたアンタが悪いんじゃんか。」
「おっしゃる通りです……とでも言うと思ったか!! なぜ私が汗臭い体育倉庫を片付けねばならない!? マジで汗臭かったんだぞ!? 仮にも花も恥じらう乙女というものが力仕事！これは酷い!! という訳で私はこの世の不条理を」
「うるさい座れ」
「はい」

四時間目の体育の後、弁当で満腹になって眠る生徒もいる中声高らかに不満を叫ぶ栗色の少女に、頬杖を付いた黒髪の少女……黒川花が溜め息をついた。
目の前には、先程の騒音で強制的に起こされた面々に睨まれながらすごすごと席に座る栗色。

「でも倉庫は暑かったでしょ？壱与ちゃんよく頑張ったね！」
「やあーだもう！ホント可愛いな京子ちゃんはぁ！ありがと！」
「もー……京子は甘やかし過ぎ。」

なんて言いながらも、結局はその無邪気な笑顔に絆されてしまう自分に苦笑。

ふと、時計を見上げる。
あと25分。昼休みはまだまだ長い。

「……もうすぐ夏休みだね～」
「そーねえ……」
「壱与ちゃんは今年も巫女さんするの？」
「ん？……ああ、夏祭りか！そうだね。今年も爺様の手伝いだ。」
「アンタもたまには普通に遊べば良いのに。毎年手伝いじゃないの。」

そのままじゃ彼氏もできないぞ～？とちゃかす花にデコピンを食らわせて、意地悪く笑う。

「そんな事言っちゃってぇ。黒川ちゃんこそ牛柄の彼と進展は有ったんですかあー？」
「あれから全然会えてないわ……ああーっ!!! 今年の花火は彼と見たいっていう私の夢は……!?」
「どーんまいっ」
「……んー……ねえ、花！今年はツナ君達も誘ってみない？」
「何でよりによって沢田達なのよ。あんなサル共に。」
「だって牛柄の人と会う時はいつもツナ君達がいるじゃない。もしかしたら会えるかもしれないよ？」
「はっ！そういえば！やっぱアンタ天使だわ、キューピッド!! ぜひ誘っちゃって!!!」
「うん！」
「この恋する乙女めが……」

変わりようが恐ろしいぞ、と呟いて窓の外を見上げる。
日射しが眩しくて慌ててカーテンを閉めた。
巫女がこんがり焼けるなぞ洒落にならん！脳内の爺様に怒られた。おお怖い。

巫女さん、かあ……

少しもどかしくなる。
自分の持つ肩書きって一体何なんだろう。

並中の中学二年生。並盛神社の巫女。有名な陰陽師、羅神雅道の孫……

うんやめやめ。考えるだけ惨めだ。どうせ結論一緒だし。

「……はぁ」

羅神壱与。栗色の彼女は今日も"からっぽ"だ。