【リボーン】また還るまで、さようなら。【雲雀恭弥】 (ページ11)

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からっぽの風呂上がりページ11

「はぁ～……」

暖かいお湯にじっくり浸からせてもらい、そのお陰か少し楽になったのに安心する。
入浴中ずっと脱衣所で待機してくれていた女中が何か冷たい物でも持って来ましょうかと言うのに、折角だからとさり気なくアイスが食べたい旨を伝えて(図々し過ぎる)、そこで漸く一息吐いた。

「お風呂広かったなー」

檜風呂とか。もはや旅館じゃね？
高級感溢れる浴槽に緊張して、ろくに寛げなかった。
流石天下の雲雀家。

(そうなんだよなぁ……)

自分は今、彼(か)の風紀委員長の家にお邪魔しているのだ。

入学式の日に壇上に立って諸注意を述べる彼を見て、
それからも事ある毎に長(おさ)として動くのを目にする度に、ずっと【遠い人】だと感じていた。

そんな人の家、即ちテリトリーに踏み入っているのだ。変な気分にもなる。
またこの事のお礼もしなくてはならない。爺様に相談してみるか。

「壱与さん、どうぞ。」
「！あ、ありがとうございます。」

横から声が掛けられ、振り向くと女中がそっと器を差し出した。
中にはアイス。本当に持って来たのか。
有り難く戴くことにする。

「壱与さん、それを召し上がったら部屋に来るように、と坊っちゃまからの伝言です。」
「え、雲雀さんが？わっ分かりました……」

まさかの呼び出し。
特に普段やましい事をしている訳でもないのだが、何だろう。もしかして神社での無礼か。や、殺られる。
ガタガタ震えながら、なるべくゆっくりとアイスを頬張った。