そんな2文字で終わらせていいものか【HQ】 (ページ9)

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結局、その年で取れた賞は『優秀賞』のみだった。

2番手だった。それも、『最優秀賞』とは違う。『優秀賞』は2番手をかき集めた賞で、私の作品はそのどれもに劣っているような気がした。

どうして。光陰の付け方には気をつけ、差し色もいつもと変えて、デッサンだってずっと……ずっと努力してきたのに。

いいや、それは私だけじゃない。ここに飾られた絵は、私よりも努力している人たちが描いていて、それが皆報われている。分かってる、分かってるけど悔しい。

最優秀賞を取った絵は2つ歳上の人だった。だが、それを言い訳にしていてはダメだ。3年生だから取れるのではない。それ相応の努力がなければ、この場には上がれない。

拳をグッと握ってその作品から目を背けた。
今日は帰ろう。そして家に帰ってまた描こう。
そういや夕も今日試合だと言っていた。勝っただろうか。きっとあいつのことだから勝っているんだろうな。

自分の作品のある方を見ると同じ制服の学生がいた。
あれは、美術部の先輩たち。声をかけようとしたが、あまり接点もないため、少し観察してみることにした。

なにやら、話しているようだ。
彼女らの話し声は次第に大きくなっていく。

「リエちゃん泣かないで。あの子が取ったのは運だから。」

「そうそう、中学の時の好で取れただけ。気にする事はないわ。」

「そもそも、あの子には『才能』があるから。」

は？

脳内はその1音しかなかった。
運って何。好って何。

……才能って何。

どれだけ努力をしたのか知らないくせに

そんな2文字で終わらせていいものか。