わすれない ページ43
掴まれた顎から熱が伝わる。
目を開けたままの視界には、彼の顔がドアップで映った。
唇に触れる新たな熱に私は困惑した。
ーー
今日は会社の同僚数人と忘年会をしていたはずだ。
ぱーっといこうぜ！と言った声から記憶がプツプツしている。
ビールを一杯飲んで、焼き鳥を食べたとこまでは明確に記憶がある。問題はその後だ。
気がつけば楽しい愚痴大会になってた気がする。ガンガンする頭を触り目を覚ますと、そこは見知らぬ家だった。ここどこー。
そういえば同僚が私を抱えていた気がする。
てことはここは桜庭の家か。同僚の家なんて始めてきた。しかも多分2人っきり。
外は少し明るくなり始めてた。
初日の出だ。なんてぼーっと考える。
布団に別れを告げてリビングの方に行けば見た目良い彼がソファーで寝ている。
やっぱそうだよね。申し訳ない。
起こすわけにもいかないのでそろそろーっとキッチンに移動する。
コップを借りて水を注ぐ。水の音に少し目が覚めた。
おふろにはいりたい。とにかく風呂に入らなきゃ、化粧と顔が大変なことになる。
勝手に借りて……と考えたのも数秒にして風呂に入ろうと決める。
風呂に入っているとガタッと鈍い音がした。
(起きてきたか。勝手に風呂借りてごめん)
心の中で謝って風呂を出る。タオルで体を包んでいるとガチャっとドアが開いた。
開いちゃったー。
「何見てんのよ！！」
「んー？……ごめん！！」
しばらく惚けた彼は叱られてすごすごとドアを閉めた。
こんな漫画みたいな事故要らないのに。
リビングに戻れば、居心地悪そうな彼がいた。いや、悪いのは私だしここは君の家だよ。ごめんね。
「風呂、勝手に借りちゃってごめん」
「あぁ、いや構わないのだが、」
「昨日どうなったの？」
「酔っ払ったお前と大輝はそれぞれ俺と笹木に引き摺られて、今の状態だ。」
瀬川(大輝)と希(笹木)は同期の2人だ。なるほど。希は彼を引き摺ったのか。
「ありがと、あと、あけましておめでと。」
「おう、おめでとう」
そうしてソファーでテレビを見ながら話すことにして、2人だらだらと会話を続けていたら、彼が忘年会で言いそびれたことを話したいと言ってきた。
はやくいえよ、といえば彼はこっちを向いて、私の顎を掴んで、唇に触れた。
首をかしげるまでもなく流れるような動作に顔に熱が登ってくる。
「A、好きだ」
「……は？」
口を開けて呆けてしまった私は悪くない。
そして、この言葉に私がどう返すのかも決まっていた。
「私も、好きなんだけど！」
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恋花-renka-(プロフ) - みるくプリンさん» こんばんは！舞い上がって飛んでこられたところ重たい話ですみません。どうも悲恋系にハマってしまったようで……次の更新は華やかなものをご用意させていただきます！ (2019年9月24日 21時) (
レス) id: 6dd786bb90 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - こんばんは。久々の更新の通知に、舞い上がって飛んできました。なんか今回は重い雰囲気のお話ですね( o´ｪ｀o) (2019年9月24日 20時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
恋花-renka-(プロフ) - 鈴歌-Rikkai-さん» ありがとうございます…！ネタ切れしちゃって更新遅くなると思いますがこれからも付き合っていただけると嬉しいです！ (2019年7月23日 16時) (レス) id: 6dd786bb90 (このIDを非表示/違反報告)
鈴歌-Rikkai-(プロフ) - うみ、という話。なんか私の実体験にも似た話でちょっと切なくなりました。なんか…この小説の雰囲気大好きです。更新頑張って下さい、応援してます！ (2019年7月19日 17時) (レス) id: af6ad853e4 (このIDを非表示/違反報告)
恋花-renka-(プロフ) - ナギさん» はじめましてナギさん。応援とっても嬉しいですありがとうございます！！私は仲直りすることが終に叶わなかったのです。ナギさんは御友人さんとぜひこれからも仲良くいてくださればと思います。 (2019年7月11日 22時) (レス) id: 6dd786bb90 (このIDを非表示/違反報告)
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