コイバナ【短編集】

おみあい ページ23

最初に、彼と会ったのは親の紹介でだった。


私は小さな派閥の娘。


跡を継ぐのは弟の正樹で私は自由にしていいと昔から言われていた。



私には昔からずっと憧れているものがある。


周りの女の子達の攻略結婚をみて、


「自分が好きになった人と結婚したい」


そんな、ちっぽけな願い事。



でも、そんな小さな夢は叶わなかった。



当時はうちの財政が少し傾きだしていて、


私が彼と結婚することによるつながりを親は求めていたそうだ



もちろん。私は受け入れられなかった。


昔からの夢を踏みにじられたようで、悔しくて、悲しかった。




とりあえず会うことになった。


親は「いい人だから大丈夫よ」なんて本当かもわからないことを言ってきた


大丈夫って何が大丈夫なのかしら。



でも、実は本当に大丈夫になってしまった。


彼と会った私は、彼に一目惚れして。恋をした。



徐々に縮まる距離が嬉しくて、恋してるんだなって思えた。


攻略結婚だけれどとても幸せだった。



私は彼の妻になり、彼は私の夫になった。


あそこで「会ってみよう」そう思わなかったら


私はこの気持ちを知らないまま一生を過ごしていたのだろう。



だからお母様には感謝してるんだ。



今日こんなに立派な日を迎えられたことを、


ここまで私を育ててくれたことを


とてもありがたく思います。




今までありがとう。これからもよろしくね」

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