コイバナ【短編集】

すれちがい ページ24

「俺さ、好きな人がいるんだよね」



なんて。初めて聞いた時は卒倒するかと思った。


私は貴方が好きだよ、なんて声にも出せずに心で叫ぶ



「それで、今度告白しようかなって思っててさ……成功するかなぁ……」


「すると思うよ。涼夜(ryoya)モテるもん。っ」


くすっ。と笑いながら私はそういう。


少しだけ悔しい気持ちがこみ上げてきて泣きそうになる。



「ほんとか……？？」


「大丈夫だって。協力するし振られても話聞いてあげるよ。」


「なんで振られる前提なんだよっ！！」



私が、そうなって欲しいから。


絶対彼が好きな人と彼は結ばれる運命なのに、言えずに終わるんだ。



だからこれは私の小さな失恋話にしてしまおう。



「なんででも〜」


「はぁ〜？？」



ただ、今はこの時間が永遠に続いて欲しいと思う



「だから、自信持って行ってこい！！」


「わぁーったよ…行ってくるな！」


駆け出して行った彼の背中を見つめて、私は1人泣き始める。




「どうかしたか？大丈夫？」


なんて声も、彼の想像の声で聞こえない。




「こまったなぁ……」




声の主はそう呟いて、



「君に、告白しにきたんだけど。」



そう、ぽつりと呟いた。



ーーー



「だから、泣き止んでよ、、」



そういう彼は後輩の男の子。


クラスは３組。好きなものはカレー嫌いなものはピクルス。


丁重に自己紹介までして、私を慰めようとしている。


身長は少し高めで170くらいあるのではないか(目測)


ようやく収まった涙を拭いながら彼はいう



「で、僕と付き合ってくれませんかっ！理由は、そうですね…好きだから、じゃダメですか？」


「いいよ。君のこと教えてよ。」


私は泣き止むまで待っていたこの子のことをすぐに気に入っていた。



「そのかわり、1ヶ月の間はお試し、惚れさせてみてよ。」


「もちろんです。受けて立ちましょう」



こうして私と後輩君は出会った。





馬鹿なことをした、なんて後悔している人なんか知らずに。


「俺の隣、空いたままなんだけどなぁ……」


なんて1人の少年が悲しむことを知らずに。

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