コイバナ【短編集】

つなぎたい ページ26

付き合って1週間。


友人たちにからかわれ、それでもお互いに好きなことは本当。

だから、デートに行くことにした……というかなった。



彼は特別かっこいいわけでも、勉強ができるわけでもない。

でもそんなところがわたしと同じで。


惹かれて話していくうちにどんどん好きになって。


それは君も同じだったみたいで、晴れてカップルになれた。


「どこ、いこうか。」

「んー。どこがいい？」


わたしを真っ直ぐ見つめて君はそういう。

そんなところがかっこいい。



「わたしは、無難に映画館とかでも、ショッピングでも、、」


その、、と言葉を切って。

「どうした？」


不思議に思ったのか覗き込まれてしまって、顔が、ちかいっ。


「あの、、その、、！一緒に行けるなら、どこでもいい、です……」


最初の思い切りは何処へやら、言葉は尻すぼみになってしまった。

でも、気持ちはちゃんと伝わったみたい。



「え、、あ、、それは、俺もなんだけど……」

少しにやけ顔で赤くなる彼。

同じでよかったぁ、、なんて安心するわたし



「じゃあ、映画館でも行って、買い物しよっか」


「そうだねっ！」


るんっと気持ちが軽くなってくる。


初めてのデート。初彼。


手繋げたらいいなぁ、なんて。



当日は今話題の君に膵臓をあげたい。をみて、


お昼は2人でサイザリアで軽く食べた。


いよいよ買い物。となった時に思わず彼の手をみつめる。


…自分から繋ぐ勇気はないかな、


断られないかな、とか不安になって。


何事もなかったかのように後をついて行った。

2人でいろんなお店を回ってお揃いを買おうとした時、


ふっと手を掴まれる感触があり、後ろを振り向く。


「ね、これとかどう？」


そう言って彼が掲げたのはストラップ。


「いいと思う！」

星と月の重なったシンボルで値段も手頃だった。


色違いで手に取った時、改めて手の感触を実感する。


「えっと、、その、、手…」

「んー？。ってごめん！動きにくかったよな！」


別に嬉しかったからいいんだけどな。

そう思って手を面白半分に握る


「別に、繋いでても邪魔じゃないよ？」

「なら、帰りは繋いで帰ろ！」


初めてのデートはとても素敵な1日となった。

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