夢をくれた幼馴染みへ捧げる野球人生 3 (ページ24)

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「で、何球？」
「え、あの」
「何球投げたの？」
「え、と…」
「先に言うけど誤魔化すとかありえねーから」
「30〜50…くらい？」
「その後は？」
「シャドーピッチング…」
「やる前とやった後のストレッチは？」
「えーと…、あっ」
「あっ、じゃねーよっ！」
「いひゃいいひゃい！」

頬がびよーーーんって伸びる。

「それだけじゃねーけどなっ！休養も大事だろ！初めての合宿なんだし、ただでさえ色々動いてんだから。…楽な姿勢とれ」

ぴよんって頬離され、雰囲気的に正座していた足を崩した。
頬がまだジンジンしてる…。

「まず肩と肘からな」
「へ？」
「ストレッチ」
「あ、はい」

腕を軽く掴まれて、肘を伸ばしたり、肩を回したりする。これはよくおかーさんがおとーさんにやっていること。昔、おかーさんがおとーさんにこうしてるのを見て、ゆきくんも一緒に覚え始めたんだよね。でも栄君や暁君にやってる姿は見ない…。

「明日絶対投げるなよ。というか投げさせないから」
「は、はぁい」
「後明日は重いもの持つな」
「え？」
「い、い、な」

おでこをぐりぐりされる。い、いたい。

「ゆ、ゆきくん、まだ怒ってる？」
「怒ってます」
「ご、ごめんなさい」
「…投げるの好きなことも努力してることもわかってる。けど、だからこそ危なっかしいんだよお前は。平気で重いもん持つは加減はしねーわ、こっちの身にもなれよな」

今度はふにふにと頬を揉まれる。う、う…。

「やわらけーな」
「ん、ん」
「ははっ、きもちー。明日は試合だからな。今のうちに癒さして」
「こんなのでなるの？」
「おー、なるなる」

ゆきくんがいいなら、いいけど…。

(おかーさんがね、ぎゅーってするとストレス軽減にもなって効果がいいって言ってたよ？)
(え？)
(だからゆきくんもぎゅー)
(……(不意打ちはほんと心臓何個あっても足りんって…))