月に1度の戦い『3』 ページ6
「ちょっと聞いてもいいかな」
「なんだい?」
「吹雪がくると分かっていながら呼び出したの?」
「そうだよ」
今 す ぐ 殴 っ て も い い か な
「信じられない」
「今日は諦めてここに泊まるといい」
「そういう問題じゃ、ぅ…」
「?」
ついさっきまで忘れていたが、ズキンとお腹がまた痛み出す。これはこの寒さのせいなのだろうか。さっきよりも痛い。
「A?」
急にしゃがみだした私にアルベドが近づく音が聞こえる。
「く、るなぁ…」
なんて弱々しい私の声を無視して、額に手をあててくる。違う。風邪じゃないから。
「苦しそうだ」
「当然…」
「少しだけ熱い。風邪でも引いてたのかい?」
「いや、これはその…」
もごもごとしてると察したのか「あぁ」と納得したように額から手を離す。
「そうか。君は今あの時期か」
「ちょっと黙っててもらっていいかな」
察してくれるのは助かるけど、声に出して言えとは言ってない。
「それは悪いことした。大丈夫かい?」
「全く平気ではございません」
「うん。大丈夫そうだ」
話聞いてくれませんかね?
「もういい。嫌でも下山するから」
そう立ち上がって1歩踏み出した時、ふわっと何かが包まれ中に浮いた。
「へ?」
「それは辞めておいた方がいいってさっきも言ったはずだよ」
すっとんきょんの声を出し、今の状況を考える。
ふわっとしたのは毛布で、私は毛布に包まれながらアルベドに抱き抱えられてた。つまりお姫様抱っこということだ。
「先程も言ったが天候は荒れる。下手に動くよりここで一夜を過ごした方がいいだろう」
いや言い方よ…。
「いや、けれど」
「まずは楽な体制になるといい」
また始まった。言葉のやり取りができない。降ろされた先は1つしかないベッドだった。冷たいのかと思えばそういう訳ではなく。何故か暖かい。
「そこには炎元素も混じっているから冷たくないはずだ。それとこれを」
なるほどと理解すると同時に差し出されたのは、暖かい小さな砂袋とクラスに入った液体。砂袋はわかる。これでお腹を温めるためのもの。けれど…。
「これは?」
「飲むといい。痛みが和らぐ」
「紫色なんですけど」
「害はない」
いやどうやって試したのさ。
「そんなに嫌かい?」
「怪しすぎるでしょ」
「そうか。仕方がない」
そう液体は引っ込めてくれた。良かった。あの色を飲むには物凄く勇気がいる。
そう私は忘れていた。アルベドは中々引き下がらないことを。
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露雨琶(プロフ) - わぁぁ!原神の短編集なかなかないので、凄く嬉しいです! (2021年1月24日 20時) (レス) id: 79519aaab3 (このIDを非表示/違反報告)
Dell(プロフ) - アルベドの夢小説を探してたら主様がヒットして、拝見させていただいたのですが、とても面白くアルベド推しの僕としてはたまりません…(感動)これからも陰ながら応援させていただきます!更新楽しみにしております! (2021年1月21日 10時) (レス) id: 84f4d254db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星河実羽 | 作成日時:2020年12月30日 23時