【文スト】文スト短編集ですが何か？其の伍【短編集】

空音ーソラトー様リク・夢主が黒の時代：太宰さんの姉になりましたが何か？ ページ25

「姉さん、今日呑みに行かないかい？」

黒外套に包帯をあちこちに巻いて、貴女を呑みに誘っているのは貴女の実の弟・太宰治です。

ポートマフィアの幹部に座する最恐の姉弟と、裏社会では知れた名です。

弟が最年少とは云え、姉の貴女も其れに迫る年齢で幹部になっています。

年上かつ身体共に強靭な幹部の一隅たる貴女は、旧双黒と呼ばれ恐れられる二人組を紅葉姐さんや首領と協力して教育し、あの強さ迄育て上げました。

今は、弟が貧民街から拾い上げた芥川くんを弟と違って甘やかす係を担っています。

「行く？ふふ姉さんはお酒が好きだね。でも、自棄酒を煽るのは躰に良くないよ」

残酷な命令をあくまで冷酷に下す貴女ですが、矢張り手塩に掛けて育て上げてきた部下や、そうでなくとも人命を奪うのは貴女にはかなりの重圧でした。

しかし、励ますように声を掛けてくれる友人たちの存在、そして弟の存在が貴女の荒んだ心を癒してくれていたのです。

「おお、葵姐さんじゃねェか。丁度良かったぜ」

首領に報告書を上げて荷物を取りに自室に戻る途中、貴女が最も気に掛けている人物の一人・中原中也がやってきました。

「げぇ、中也」

「今手前に用はねェんだよ。芥川が用があるってェ云うから連れてきてやったんだ」

中也さんには気持ち悪いので敬語は外せと云ってあります。

仮令あの旧双黒と云え、師匠たる貴女の前で粗相はしません。

弟が甘えて来るのは家に帰ってから。

「あっそ。じゃあ姉さん、私は先に姉さんの執務室で待っているよ」

「んじゃ、俺も未だ仕事があっから」

ひらひらと帽子を振って立ち去った中也さんを目で追ってから、未だ幼い芥川くんに声を掛けます。

「其の…明日のデザァトには、…叉姐さんの無花果ケェキが食べたいです」

ああ、もう可愛い!!

頬を朱に染める芥川くんを抱きしめ、ひたすら悶絶する貴女でありました。

結論：姉さん/姐さん呼び

葵の異能力：やはらかな孤独
相手に安らかな眠り(睡眠)を与える能力。
眠りは二時間で覚める。
不眠症改善の能力などと揶揄され莫迦にされることも多いが、使いようによっては敵を全員眠らせた後に短機関銃をぶちまければ一気に処理できる恐ろしい異能になる。

太宰「姉さん、洗剤のソーダ割りとかない？」

葵「ない！」

太宰「はっ！なら此処は発想を逆転させて…ジンの洗剤割りとか如何だい!?」

葵「だから無いってば！治は私が死なせないからね!?」

太宰「姉さん…!!」

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