【文スト】文スト短編集ですが何か？其の陸【短編集】

夢の中の少女様リク・ポオくんに顎クイからの接吻されましたが何か？ ページ39

葵さんは組合でポオさんの直属の部下をやっています。
≡≡≡≡≡
「あぁ〜…」

至福の声を上げたのは、貴女に抱きついて首もとに顔を埋めるポオさんです。

彼が少し身動きする度にふわふわの髪が頬や肩を掠め擽ったくてならないのですが、心底心地良さそうに貴女を抱き締める上司から逃れられる訳もなく。

先刻少し離れようと動いてみると、雨に濡れる捨てられた子猫の様な寂しげな瞳で見上げられ、良心の呵責に強制的に元の位置に戻されました。

しかし、幾らポオさんが直属の上司とは云えど貴女も組合の構成員、適度な事務仕事等があります。

こう縛り付けられていては本格的に仕事と給料に関わるので、貴女はポオさんに、何故何時も私を抱き締めるのか、と聞いてみることにしました。

すると、

「む、唯其れに理由は一つ、葵君の可愛らしさである！仕事で失態を仕出かすと何時も何時も『ポオさぁん…』と悲しげな様子で駆け寄ってくるのも、我輩の小説執筆を手伝ってくれるのも、夜中迄起きていれば付き添ってくれるのも、迚優秀な我輩の助手、即ち！」

ドヤ顔で云い放ちます、

「所謂天使って奴である!!」

……そっか、ポオさんは私の事好きじゃないのか。勝手に誤解して舞い上がってたや、

若干凹んだ貴女はそうですかと適当な返事をして視線を落としました。

「ふむ…葵君の御機嫌が斜めな理由を知の巨人たる我輩が推理するである。…………っ！」

何かに感付いたポオさんはぐいっと貴女の顎を持ち上げ、慌てる貴女を他所にあちこちに接吻を落とします。

軈て貴女がへろへろになってから漸く其の嵐は止み、貴女の前髪を撫でてポオさんはにっこり笑いました。

「無論、葵君のことは恋愛感情として好きである、当然だよ」

結論:人見知り設定は一体何処へ行ったのでせう？

ポオ「……葵君とは矢鱈すらすらと喋れるから何なのかと思ってみれば、矢張り我輩は葵君の事が好きだったのだな！」

葵「ぅぐ……何でそんなに高々と好きだと公言できるんです…」

ポオ「何だ、恥ずかしがっているのか。両思いなのだから恥じる必要は何処にもないである！」

葵「そ、そんなこと云われましても！」

〜扉の外〜

フィッツジェラルド(あぁ、仲睦まじそうで何よりだよ…まるで新婚の頃のゼルダと俺を見ているようだ)

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