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そのまま手を繋いでゆっくりとショッピングモールの中を歩いていく。
1ヶ月後にあるクリスマスの飾りがたくさんある店内はなんだか賑わっていた。
この前まではハロウィンの飾りがぶら下がっていたのに、もう12月の準備……。
早いなぁ……。
「もう年末ね」
「そうですね。あっという間でした」
「今年は、クリスマス一緒に過ごせるかしらね」
ツバキさんの少し悲しそうな声に「あ、」と反射的に出た言葉が漏れ、そのまま黙ってしまう。
リスナーさんと、一緒に過ごすんだろうな……。
誕生日や記念日、イベント事は全てリスナーさんを優先して動いている彼ら。
当然、世間に秘密である私たちは2番目の対応をされてしまう。
「……分からない、です、」
「そうね。皆、忙しいから」
「……ツバキさんは、その。
……やっぱり寂しくなったりしますか？」
「するわよ。……恥ずかしいけれど、頻繁に」
女性の誰もが憧れるツバキさんでさえ寂しくなるなんて、と思ってしまうが、そりゃあそうだ。
恋人たちの日なんて言われているクリスマス。
そんな日を恋人ではなくリスナーさんと過ごすのだから悲しく感じることもあるだろう。
……でもしょうがない。
……ばぁうくんがリスナーさんを選んだだけだから。
悲しいけれど、どうにも出来ない。
それにリスナーさんに出来て私には出来ないことは沢山ある。
その感謝を伝えるためにあっているのだから、努力をしていない私が後回しなのは当然だ。
「でも、平気よ。私」
「え」
「強がりに聞こえちゃう？」
「いえ。そんな、」
全然そんな事ない。
だって、目の前にいるツバキさんが楽しそうに微笑むから。
なんだか寂しさに慣れているよりも満たされているように見えた。
「ふふ。……特別な日は一緒じゃ居られないかもしれないけれど、何でもない日は一緒にいられるの」
「……？」
「私、まひといるだけで特別だから。
何でもない日も好きになれちゃうのよ」
「！ 確かに、……私もばぁうくんと一緒に居られるだけで幸せです」
どんな日でも色鮮やかに輝きだす日常。
まるでずっと夢の中にいるみたいだ。
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
