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思わず手をし出されてしまったので握ったが、別に握らなくても歩いて行ける。
「あ、あの。……手は繋がなくても……」
「あら、だめよ。ばぁうくんから頼まれているんだもの」
「えっ？」
真面目な顔でツバキさんがそう伝えるので、思わず頭に疑問を浮かべてしまった。
ばぁうくんが、……ツバキさんと手を繋げって言ったのかな……？
なん、なんで？？
わざわざそんなお願いをした意味が分からなくて小さな頭で考えてみても答えは出ない。
とりあえず分かることはツバキさんと手を繋がなければいけないということくらいだ。
「『俺の大切な子をよろしく』って」
「ば、ばぁうくんが？？」
「ええ、そうよ。『傷1つ付けないで』って言われているから大事に扱わなくちゃでしょう？」
「あ、……う。……そう、ですね？」
「ふふ……(『今日はよろしく』としか言われていないけれど、大体あってるわよね)」
ばぁうくんがツバキさんにそんなことを伝えてただなんてしらなかった。
相変わらず過保護というか、私が転ぶことでも心配しているのかなと思うと普段の言動をもう少し気をつけておかないといけないなと身体が引き締まる。
あんまり心配かけないようにしなくっちゃ。
「じゃ、じゃあ……。よろしくお願いします」
「……」
「？ ツバキさん？」
手を繋いだはずのツバキさんが黙り込み、水色の綺麗な瞳をこちらに向けてくる。
その意味が分からない私はどうしたんだろう、と彼女の言葉を待つ他なかった。
「ばぁうくんが苦労するわけだわ」
「え？？？ ばぁうくん……？」
そ、そんなに私って危なっかしいのかな……。
そんなに怪我とかしてないつもりなんだけど……。
ばぁうくんとツバキさんに心配されるって相当だよね……。
「ふふ。だめよ。気をつけておかなくちゃ。
男性だけじゃなくて、危険なオンナにも。ね？」
「……へっ？」
「ふふっ」
色気をたっぷり含んだその言葉に頭がクラクラする。
なんか、こういうところ、ばぁうくんに似てるんだよね、ツバキさん……。
こう、魔性のオンナって感じ……。
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
