【文スト】王様ゲーム

その4 ページ6

「えっと…卵は卵白と卵黄に分けて…それから…。」

社内のキッチンで、レシピ本を見ながら菓子作りに勤しんでいる敦。お菓子作りどころか、料理などしたことのない敦にとって、いきなりのシフォンケーキ作りはかなりの難関であった。


「鏡花ちゃん、このメレンゲって…？」

「卵白を泡立てたもの。」

「そうなんだ…。」


鏡花に少しずつ作り方を聞きながら、器用にその行程を終わらせていく敦。その背後では、退屈そうにした乱歩が、「ねぇまだー？」と言いながら駄菓子を食している。


今回の王様は江戸川乱歩。駄菓子好きの彼だが、何を思ったのか、今回の命令は「シフォンケーキを作ること。失敗とか有り得ないからね。」であった。

そのセリフに、シフォンケーキなど作ったことのない敦は真っ青。せめてもの情けと、国木田からはびっしりと書き込みのされたレシピ本を渡され、助手にと鏡花が名乗りを上げ、シフォンケーキを作っているのである。


「あとは…オーブンに入れて…。」


焼き始めると、甘い香りが社内に漂う。その香りに女性陣は頬を緩めた。








数分後、焼き上がったシフォンケーキが乱歩の前に置かれる。
レシピ通り作ったため、しっかりと膨れ上がったシフォンケーキは、焼き加減も程よいものだった。

「早く切り分けてよ」

「はい！」

敦が小皿に切り分て渡すと、乱歩は嬉そうに笑う。


「いただきまーす」


パクりと一口。「初めてにしては上出来だね」と、お褒めの一言。これには敦も嬉しそうに微笑む。


「ありがとうございます」







ーーー



自己満足で始めたこの小説、読んで下さる方がいる上に、まさかリクエストまで下さるとは思いもしませんでした。

本来は、中也にセーラー服を着せたいがために始めた王様ゲームです。実は消すつもりでも居ましたが、「乱歩さんを出してほしい」というリクエストにはお応えせねばと、この回を書きました。

亀更新ではありますが、ネタを思い付く度に随時更新していこうと思います。

よろしくお願いします。

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