魔法使いは救いを求める【忍たま乱太郎】

17 ページ19

斉藤.side



「ふふっ♪」



彼女の髪を結ったあと、普通に自分の部屋に戻ると同級生たちが一斉にこちらを振り向き、詰め寄ってきた。



「タカ丸さん！大丈夫でしたか！？」

「何もされていませんか！？」

「ちょ、ちょっと2人とも…どうしたの？そんなに慌てて。」

｢天人族の髪結いをしに行ったって聞いてからず〜っとこんな感じ。｣

｢｢慌てて当然だろ！｣｣



綾部くんと守一郎は天人族と聞いて何も興味を示さなかったが、三木ヱ門と滝夜叉丸は違ったようだ。



｢何も慌てるようなことしてないよ。ただ髪を結っただけだから。｣

｢本当か！？｣

｢いや、聞いたことがあるぞ。天人族は人の心を操る術を使うという。まさかタカ丸さんがその術に…！｣

「だから！何もないってば！！」

｢その、天人族ってのは話は聞いたことあるが、実際にはどんな感じなんだ？｣

｢普通の女の子だったよ。不思議な雰囲気はあったけどね。｣

｢不思議ってどんな？｣

｢やはり、なにかの術を…！｣



うーん、やっぱり警戒心って厄介だなぁ。いちいち疑ってかかる2人にどうしたら納得してもらえるか考えなきゃ…



｢あ、そうだ！｣

｢なんだ？｣

｢これ。彼女がね、他の生徒のことどう思ってるか聞いてみたんだ。そしたら面白い答えが返ってきてね。｣



ぼくはこっそり持って帰ってきた彼女が捨てた紙を取り出した。ぐしゃぐしゃに丸まったそれを丁寧に伸ばして皆に見せる。



｢仲良く、なりたい……？なんだこれ？｣

｢へぇ、綺麗な字だな。｣

｢そこじゃないだろ、守一郎。｣

｢つまり、その子はここの生徒と仲良くなりたいって思ってるってこと？｣

｢そう！｣

｢むむむ……それもまた、何かの策かもしれない。｣

｢もう！どうしてそんなに疑うのさ！1度会ってみれば絶対に分かるよ！｣



何がなんでも疑いたい滝夜叉丸に少しイラつきながらも彼女がこの学園でちょっとは良かったと思えるように頑張らなくてはと思う。

かなりハードルは高いけど、せめてぼくだけでもAちゃんの味方になってあげないと。



｢まぁ、会ってみなきゃ悪いやつかなんて分からないよな。早く会ってみたいな！｣

｢呑気だな…それこそ、元気になったら何をするか分からないんだぞ。｣

｢というか、ぼくたちが話し合っても学園長命令なんだからどうすることも出来ないでしょ。｣



まだ納得しきっていないようだが、それもそうかということで話は終わった。

18→←16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す