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畳と墨の匂い。おばぁちゃんの顔が思い浮かぶ雰囲気の部屋の中でスルスルと包帯の擦れる音が響く。
「うん、外傷は順調に治ってきているよ。熱も下がってきたし、もう少しで外に出れるようになるかもね。」
《ありがとうございます。》
「それで、今日は1つ提案があってきたんだけど。」
ここに留まることが決まって数日、私は高熱にうなされていた。しかし、苦しんだおかげで熱も治まり傷も塞がってきた。
いつものように新野先生に診察をしてもらっていると、新野先生はニコニコと楽しそうに笑った。それに私は首を傾げる。
「実は、この学園に元髪結いの生徒がいるんだけどね。君のその髪、整えてもらおうと思っているんだ。どうかな?」
その言葉を聞いて私は自分の無惨に切られた髪を触った。世間への見せしめに切られた髪は元々腰までの長さがあった。しかし、今は肩にもつかないくらい短い。
「大丈夫、その子にはちゃんと許可を得ている。是非やらせてくれって言われたよ。」
《本当ですか?》
「本当だよ。会ってみるかい?」
正直、髪の毛のことはかなり悲しいし、早く整えたいとは思っていた。でも、6年生以外の生徒と会うなんて…大丈夫かな?
私は、しばらく悩んだ後に覚悟を決めたように筆をとった。
《よろしくお願いします。》
「そうか!では、さっそく呼んでくるよ。」
やっぱり、心配よりも他の生徒とも話してみたい好奇心の方が勝ってしまった。
嬉しそうに返事をした新野先生は、さっそくその生徒を呼びに部屋を飛び出していった。
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私がドキドキしながら待っていると誰かがこちらへ歩いてきた気配がした。
「失礼します。」
一声かけて戸を開けた生徒は、金髪でとても親しみやすい雰囲気の青年だった。その手にはハサミとクシが握られており、私の髪を切る気満々の様子だ。
「君が泡沫Aさん?ぼくは四年は組の斉藤タカ丸。よろしくね。」
《よろしくお願いします。》
私は布団の上て正座をして頭を下げた。にこやかに笑う斉藤さんはとても嬉しそうに見える。
「今日は君の髪を整えて欲しいっていう話を聞いたんだけど、どんな髪型がいい?」
《長さだけ揃えてもらえば大丈夫です。》
「そうなの?もっと奇抜にしてみない?せっかくそんなに綺麗な髪を持っているんだから!」
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すずは(プロフ) - れいらさん» コメントありがとうございます!上手く説明できるか分かりませんが、一応説明してみます…コメントの名前が書いてある横の(プロフ)という所を押してもらうと、その人のプロフィールに飛びます。そのページにメッセージを送るという所があるので、やってみて下さい! (2023年1月7日 20時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - こんにちは魔法使いは救いを求める 拝見してる者です!続き見たいのですがTwitterをとっていなくて恋夏さんツクのメッセージご利用くださいと言っておりますがそれすらもわからない初心者でして…教えて頂けないでしょうか?万が一言葉で伝えるのが難しい場合は調べます (2023年1月7日 20時) (レス) id: 62b1690a8f (このIDを非表示/違反報告)
すずは(プロフ) - 恋夏さん» コメントありがとうございます!リンクに飛べない理由は私もちょっと分かんなくて…ユーザー名は@SUZUHA_yumeなので、Twitterで検索していただければ大丈夫だと思います。それでも出来なければ、占いツクールのメッセージをご利用ください。 (2022年11月12日 9時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
恋夏(プロフ) - こんにちは!魔法使いは救いを求める、面白いです!続きを拝読させていただきたいのですが、Twitterアカウントのリンク?クリックしてもページに飛ばなくて…どうしたら良いでしょうか?すみません占ツクは初心者でして💦 (2022年11月12日 8時) (レス) id: 57259ef5e6 (このIDを非表示/違反報告)
すずは(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃん、皆と仲良くなれるといいですね。Twitterをやっていない方には占いツクールのメッセージにて返信をさせていただこうと思っております。よろしければ、一言お声がけ下さい。 (2022年10月31日 20時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すずは | 作成日時:2022年8月20日 19時