魔法使いは救いを求める【忍たま乱太郎】

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昔々、この国は大雨に見舞われ、作物は育たず、激しい食糧難に陥った。


どの地域でも人々が空腹で倒れていく中で、ある1人の女が現れた。


女が空に手をかざし、天に歌うと…たちまち雲は消え去り太陽が顔を出した。


人々はたいそう喜び、女を天女だと言い、崇めた。


天女は、人々とは異なる言語を話し、見たこともない容姿をしていた。


髪は絹のように光り輝く銀色で、瞳は宝石のような水色であった。


そして、不思議な力を持つ天女は崇められると同時に不気味がられた。


誰も天女を人間として見ていない。


そんな好奇な目に耐えられなかった天女は、唯一自分を認めてくれた男と山に逃げ込み、隠れるように密かに暮らした。


やがて、天女の元には人ならざるものが集まるようになり、1つの小さな村を築いた。


その村の名を【天月村】という。


【天月村】には、外界とは全く異なった文化、言語が根付き、国の人々からは謎多き一族として噂されることとなった。


その村の場所は誰にも分からず、住人に手を出せば激しい報復を受けるという逸話が独り歩きしている。


それ故に、人々は村の住人を【天人族】と呼び、決して手を出そうとはしなかった。




【天人族】の住まう村、【天月村】。




外界から完全に遮断された人ならざるものが集う場所。


しかし、人の好奇心とは怖いもので天人族狩りというものが流行した。


誰が1番早く天人族の首を持ってこれるのか、血の気が多い人々が立ち上がった。


ある城の殿様が天月村の場所を調べあげ、最大の兵力を上げて村を襲った。


天月村はあっという間に火の海になり、天人族は逃げ惑った。


城の兵士は、天人族の象徴である銀の髪と水色の瞳を持つ、美しい少女の首を討ち取った。


その日の晩、天人族を討ち取ったとして瞬く間に名をとどろかせた城は、祝杯の宴をあげた。


豪華な食事に美味い酒、美しい女と華やかな音楽を奏で、台座に天人族の首を飾って踊り狂った。



しかし、喜びもつかの間




仲間を殺され、怒り狂った天人族は村を襲った城を一瞬にして落とした。


天女から受け継いだ不思議な力で、兵士を皆殺しにし、城を焼き払い、城主の首を狩りとった。



噂が現実となり、人間と天人族との間には大きな溝ができた。


その出来事から、天人族には決して手を出してはいけないという、暗黙のルールが世に出回った。

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