ドンくさい私 ページ23
「あれ、花蓮。
どうしたの？」
いきなり聞こえたのは、聞き覚えのある声。
これって、千夏…？
「彩と仲良かったっけ？」
花蓮、っていうのは柳川さんの名前。
彼女が私と距離を置き、柳川さん達と仲が縮まった証拠を見た気がして、胸が痛くなる。
…ダメ、こんなこと考えたって意味ないのに。
「んな訳ねえよ。
良い加減あの店に行くな、って教え込ませてるとこ。」
教え込ませる、って…
柳川さん、なんでそんなに必死になってるんだろ。
「ふーん。」
そう言った千夏は、チラッと私を横目で見る。
その目は、怒ってる感じはしないけど、暗かった。
そう言えば、昨日この子に脅されたんだよね…
うっ…！
また いじめられそう…！！
思わず身構えてしまう。
そんな私を見て嬉しくなったのか、その子は笑う。
「ねぇ、美門君ってさ」
その時、朝読書の開始の鐘が鳴った。
同時に先生も入ってきて、「水瀬と柳川、座れ。」なんて言われてしまう。
…タイミング、よかったんだよね…？
私はなんだかホッとしたけど、その分彼女達の目はキツくなってる。
「時間ある時にたっぷり話そ。
放課後、カフェね。」
千夏が耳元で、そう囁いた。
ホントに、
そもそも縁を切った筈なのに、なんであの時、私に近づいたのか。
あ、あとあの瞳はなんだったんだろう。
深い海の底のように、暗い瞳。
なんかあったのかな。
あの子は素直だし、何か嫌なことがあれば誰かに相談する筈。
なのに、なんであんなに追い詰めてそうなの。
よっぽど、辛いことがあったのかな。
誰かに話したりできない程の悩みを抱えてるのかな。
地理の授業を聞きながら、彼女のことが頭をグルグルと回る。
心配になってきた…
だって、話せない程辛いことって、あの子は今どれ程苦しいのか、って。
「はぁ…」
四限目の地理が終わったので、昼休みになった。
今日は折角晴れてるから、中庭にでも食べに行こうかな。
まあ、このままモヤモヤしたまま食べるんだろうけど…
通学鞄からお弁当と水筒を出して…って、水筒がない…
焦って隅々まで探してみたけど、やっぱりない。
忘れてきた…
嗚呼、私ってドンくさい。
溜め息を吐きながら、自動販売機で飲み物を買おうと思い、弁当を持って立ち上がった。
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小町(プロフ) - 言の葉さん» 言の葉さま…！！読んでくださってとても嬉しいです！その上こんなに素敵なお言葉まで…！ありがとうございます！ (2022年12月25日 7時) (
レス) id: a89f3eeedf (このIDを非表示/違反報告)
言の葉(プロフ) - 大変面白かったです。文章や物語の細かい部分にセンスが鏤められていてとても素晴らしかったです。最後まで読めて嬉しい…。お疲れ様でした。 (2022年12月24日 23時) (レス) @page36 id: 6ceba3ea5d (このIDを非表示/違反報告)
小町(プロフ) - inkさん» ありがとうございます！とても励みになります。こんなにノロノロ更新なのに、待ってて下さる方がいらっしゃって、とても嬉しいです！ (2020年10月5日 18時) (レス) id: b63ba8e786 (このIDを非表示/違反報告)
ink(プロフ) - わ、ハラハラする...続きが気になる笑 更新待ってます！ (2020年10月5日 12時) (レス) id: 15bd63d20a (このIDを非表示/違反報告)
小町(プロフ) - 休校さん» ミルクティーに目を付けて頂いて嬉しいです！その上他の作品も見てくださるだなんて…！ありがとうございます！！やる気出ました！近いうちにまた更新しますね笑 (2020年8月24日 6時) (レス) id: ec8a71b4e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小町 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hopwe021/
作成日時：2020年6月8日 13時
