紅茶とミルクをかき混ぜて。

リス ページ15

「ただいま。」

家に帰ると奈子がクッキーを食べていた。



「おへぇはん、おはへひ」


「飲み込んでから喋りなさい。」





奈子はクッキーを口に詰めて頬張る。


その姿は何というか、リスみたい。





辛い事なんて微塵も知らずに幸せそう。

何時もはそれが苦しくなるけど、今日は違った。




美門君…じゃなくて翼と話したからかな。

心が凄く軽い。

籠から解放された鳥の気分みたい。





でもその気持ちは、針を刺された風船みたいに萎んでしまった。

翌日になると学校の事が不安になったから。



昨日 途中で翼とカフェに行ったから、千夏に言われずに済んだ。

でも今日は逃げられない。

多分朝一で言うよね。





『親友、辞めよ。』



って。



出来れば聞きたくない。

学校行きたくない。


そんな思いも虚しく、家を出る時間になった。





「行ってきます。」








　







.

見慣れた通学路を歩く。

心臓はドキドキとしていて、今にも破裂しそう。




ああ、神様…！

どうか千夏に見捨てられませんように！




必死に祈りながら校舎内を歩いていると、後ろから声がした。





「彩」

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