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休暇中の束の間 新樹依流 ページ9

「……はぁ、煙草うっま」

死神の鎌を背負い、私―――新樹(ざらき)依流(える)は夜の幻想郷に降り立った。先の異変、つまるところ白き悪魔だのミフェルティア・ラピスラズリだのが好き勝手してくれたあれの所為で彼岸はつい先程まで大忙しだったのだが、ここに来てやっとひと段落ついたので休みを貰ってきた次第である。そんな大忙しの中でもクソ上司は仕事押し付けて帰るし小野塚も仙人の家でダラダラしてるしあいつらマジで絶対許さん呪詛呪詛呪詛……!
―――閑話休題。
とまあそんな成り行きで私は幻想郷へ遊びに来たのだ。煙草を吸いながら人間の里を歩いていると、見慣れないスタジアムのようなものがあった。今は夜なので閑散としているが、つい先程までは何かのイベントがやっていたのだろう。なんだろう、と思い、客席に座っている女性に話しかける。

「すみません、このスタジアムは何をやっていたんですか?」

女性はこちらを振り向いた。さらりとブロンドの髪が揺れ、片眼鏡の奥の瞳がじっとこちらを見つめる。座っていても尚私と視線が殆ど同じであり、相当な高身長である事が察せられた。手元には拳銃があり、年季が入ったものだがピカピカである。余程丁寧な手入れをしているのだろう。

「……私も全容は知らんが、大決闘祭という祭が催されていたらしい。明日も続きがあるという……。参加したいものだが、飛び入り参加はできなさそうだ。これもまた運命だな」

女性はお経のようにぶつぶつと、諳んじるように話した。どうにも不思議な雰囲気の女性である。

「ところで、お前は何者なんだ?他の人間とは違う雰囲気だが」
「ん?……ああ、もしかして外来人の方ですか。私は人ではなく、死神ですよ。新樹依流と言います。好きなものは定時上がりと長期休暇、嫌いなものは残業と連勤」
「ふん、死神……どうやらかなり奇っ怪な場所に来てしまったようだ。これもまた運命か。……ああそうだ、私はガードリッチ・ヴァレンと言う」
「ではヴァレンと。幻想郷ってのは不思議な所ですからね。他にも色々居ますよ、鬼とか神とか吸血鬼とか……」

ヴァレンは私の話を大人しく聞いていた。私は話がひと段落すると、周囲をきょろきょろと見回した。

「ところで貴方、今夜の宿のアテは?」
「無い。ここで夜を明かす運命ならば、ここで夜を明かすのが道理だろう」
「……はぁ、でも流石に幻想郷の夜に一人はしんどいですよ。良ければ良い宿を紹介しますが」
「まあ良いだろう。これもまた運命だ」

運命運命よく言いますね、と言いながら、私はヴァレンと宿へ向かった。

負ける訳には 剣城→←二人ぼっち御茶会 メロウドール・コンセルヴェ



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シオンはアムルガムの派生(?) - 更新しました。お話がいっぱいになっちゃったので続編を作らせていただきました〜 (2022年12月24日 16時) (レス) id: da22832432 (このIDを非表示/違反報告)
シオンはアムルガムの派生(?) - 更新します (2022年12月24日 15時) (レス) @page46 id: da22832432 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜紅葉(プロフ) - 更新しました! (2022年12月23日 20時) (レス) id: 3b8feebb6c (このIDを非表示/違反報告)
十六夜紅葉(プロフ) - 更新します! (2022年12月23日 20時) (レス) @page45 id: 3b8feebb6c (このIDを非表示/違反報告)
十六夜紅葉(プロフ) - 天洲秋さん» わかりました! (2022年12月23日 20時) (レス) id: 3b8feebb6c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サナティ x他9人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/  
作成日時:2022年12月7日 14時

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