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誰もいなくなった病室で深澤がぼんやりしていると、入ってきたのは先生だった。
ある程度診察した所で唐突に退院しろと言う。余りにも急な、先生らしからぬ行動に戸惑ったが、その圧に負けて深澤は病院を出た。
幸い辛うじて歩けはする。迎えを呼ぼうとも思ったが、呼んだ所で車は無いはずだ。
深澤は雨の夜道を一人で歩いて、数日振りに住処に戻った。
住処に戻ると地下には誰もいなかった。じゃあBarか、部屋か。
Barを覗いても誰もいない。そもそも開店していない。じゃあ全員自室にいるのか? そんな事あるか? それとも出かけている?
深澤は違和感を抱きつつ二階に上り、試しに、ノックもせずに岩本の部屋を覗いた。
深澤の全身の血の気が引いた。
そこには彼の荷物が何も無かった。部屋はもぬけの殻だった。
＿＿まさか、出ていったのか……?
嫌な予感がした深澤は全員の部屋を見て回った。荷物が残されていたのは深澤の部屋のみで、他八人の部屋は全て引き払われていた。
間違いなく、八人が深澤をおいて出ていったという事だ。
fk「はは、」
深澤は立ち尽くして笑うしか無かった。
ほら、やっぱりそうなんだ。結局自分は裏切り者だから。自分は疫病神だから。自分が、みんなを苦しめたから。
それで呆れられて、捨てられたんだろう? 当然の結果じゃないか。
fk「……あーあ、ははっ、」
俺はあの八人に必要無かった。不幸をもたらす存在など、必要である訳が無い。
結局彼等が病院で言っていた言葉だって、深澤の意識がある事に気づいたうえでのおべんちゃらだったのかもしれない。
でもそれでいいんだ。見限られて当然だ。
だって俺はあの男の息子で、最低な人間なんだから。
俺はあいつらと一緒にいなくていい。いてはいけない。
これで、一人だ。
俺は、独りだ。
fk「はは……っ、」
＿＿独りぼっちは……寂しいな。
渡辺のあの言葉が的を射たものである事が、ここではっきりわかった。
きっと自分は少しでも楽しく生きたくて、そのために独りになりたくなくて、家族のような存在が欲しくて、ここまで来たのだ。
＿＿だって、俺は最初から独りぼっちだったから。
視界が滲んでいく。息が上手く吸えなくなる。馬鹿だ、泣いてもどうにもならないのに。
彼等を裏切った、苦しめた自分が悪いのに。
あいつの息子である自分が……生まれてきた自分が悪いのに。
「ふっか」
それでもどうしようもなく寂しくて、この耳に幻を作り出すのか。
「ふっかッ!!」
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長谷川遥香(プロフ) - 完結したけど続きでリクエストバージョンも見たいです！ (2022年1月3日 21時) (
レス) id: 3679b26edd (このIDを非表示/違反報告)
雷(プロフ) - ものすごくおもしろくて、一気読みもしたのに誤って低評価を押してしまいました…！本当は心からの高評価です、おもしろかったです！嫌な気持ちにさせてしまったらすみません…！ (2020年10月14日 22時) (レス) id: 02bdc07e91 (このIDを非表示/違反報告)
kjars8888888(プロフ) - やっぱアジさんの裏稼業が最高だな！！ (2020年9月21日 23時) (レス) id: 55f2f63f60 (このIDを非表示/違反報告)
mgrwtnb(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後まで涙が止まりませんでした。これからも応援してます! (2020年9月17日 20時) (レス) id: 1e6ed00ec9 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白く、更新を毎日楽しみにしていました。これからも応援してます！ (2020年9月15日 22時) (レス) id: afba355943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年8月29日 15時
