Hope In The Darkness IV

Hope: 1 ページ20

あれからなんとか病院に辿り着いた彼等は、複数の火傷や骨折等で重傷の深澤、そして腹に傷を負った向井と目黒の処置を先生に依頼した。
手術の必要が無いメンバーはガーゼや消毒液をぶん投げられて放置され、阿部は勿論助手として連れていかれた。医療に興味があると言うとラウールも処置室に入らせてもらえた。
この態度から察するに、先生もそれなりに彼等の生還を喜んでいるらしい。


手術後、向井と目黒は麻酔が切れるとすぐに目を覚ました。二人とも傷の治りが早いようで、順調に回復していった。
しかし深澤は数日経っても目を覚まさなかった。
正確に言うと目を覚まさない振りをした。誰が見舞いに来ようと、彼等の前ではただ目を閉じていた。
どう足掻いても降って湧いてくる罪悪感がそうさせた。先生も何かを察したのか、岩本達に告げ口する事はなかった。






あの時岩本は、深澤の家族は自分達だと言い切ってくれた。それが嬉しくて、辛かった。
慕ってくれるのは嬉しい。でも自分の肉親は彼等の仇。自分はその仇の息子だ。
自分だって最低な人間なのに、彼等の人生を狂わせたのに。


深澤が誘わなければ、渡辺と宮舘は、向井は、殺しに手を出す事はなかったかもしれない。
深澤が誘わなければ、阿部と佐久間は余計な罪を重ねずに済んだかもしれない。
深澤が助けなければ、ラウールが犯罪に関わるような事はなかったかもしれない。
深澤が関わらなければ、あの施設にいた目黒は、岩本は、違う道を＿＿もう少し真っ当な道を歩んでいたかもしれない。






それに、だ。
Fが人生は暇潰しだとほざいた時、岩本は胸糞悪そうな表情を見せた。
しかし深澤はあの時、彼の言葉に共感してしまった。


だってこんな人生、特に夢も目的も、目指す場所なんて無い。何のために生きているのかと言われれば、暇潰しという答えが相応しいのかもしれない。
暇潰しだからこそ、せめて死ぬまでは少しでも楽しく生きたいじゃないか。
みんなそうだろう。辛い思いで生きるより楽しく生きる方がいいだろう。だから辛そうな奴等に手を差し伸べて、みんなで支え合って、笑って生きられるようにって。そう思ったのに。
自分だって辛い思いをしたからこそ、そう思ったのに。


結局この考えはあいつと同じだった。立ち振舞いも思考も親子なのだと実感した。
結局自分だって、彼等を地獄に突き落としていた。
一度ネガティブに考えるともう、そう考える事しか出来なくて、深澤は一人静かに闇に沈んでいった。

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