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その後、深澤はラウールと他愛ない話をして距離を縮める事に徹した。
ある程度話をした所でラウールに疲れが見えたので、深澤は彼を自分の部屋に連れて行ってそこで寝かせる事にした。
ラウールが眠りに落ちた事を確認した深澤が向かった先は、阿部の部屋。
ノックをし、返事が聞こえた事を確認してドアを開ける。しかし、中に二人いると思っていたその部屋には一人しかいなかった。
fk「……あれ、佐久間は?」
ab「自分の部屋」
fk「え、一人で?」
ab「うん」
佐久間とは特に何を話したでもないらしい。佐久間はベッドに仰向けになり、阿部はそのベッドを背もたれに床に座ったままただ時が流れるのを待っていた。
やがて佐久間が口を開いたと思ったら、もう大丈夫、と部屋を出て行ったという。彼を追いかける事はしなかった。
fk「……大丈夫なの?」
ab「うーん……でもあいつ変に頑固なとこあるから」
fk「……お前に似てな」
ab「うるさい」
文句を言いたげな阿部の視線が深澤に向けられるが、彼は気にしない。怖くもなんともない。
阿部はこれ見よがしにため息を吐き、話題を変えた。
ab「……あの子の様子はどう」
fk「あぁ、ラウールなら今俺の部屋で寝てる」
ab「ラウールって言うの?」
fk「そう。17歳で、好きな食べ物は唐揚げ」
ab「……可愛い事聞いてんのな」
fk「最初っから何があったの、なんて聞いて答えてくれる状態じゃなかったからな」
話を聞いた阿部の目が細められる。その言葉だけである程度の察しは付いたらしい。
ab「そんなに怯えてたの」
fk「そりゃあもう……全身酷かったしな」
ab「……売られた?」
fk「思った。でも売られてそこまで経ってないんじゃないかな、あんまり長く飼われてたら慣れきって逆に怯えない気がする」
ab「確かに」
阿部は顎に手をやってしばらく黙り込む。
深澤が耐えかねて口を開こうとしたその時、阿部が漸く口を開いた。
ab「……身寄りのない子か、ごく普通の生活をしていた子……その辺りを捕まえて売ってる連中を調べるか」
fk「お、言わなくてもやってくれんだ」
ab「どうせ言われるなら先にやる。それに……」
阿部は一瞬壁に目をやった。阿部の部屋の隣は佐久間の部屋である。
ab「あいつがあの子に自分を重ねたなら……あの子の代わりに、酷い目に遭わせた奴ら全員潰さないと気が済まないと思う。佐久間も、俺も」
fk「そんなの、みんなそう思ってるでしょ」
深澤の言葉でやっと阿部の口元に笑みが浮かんだ。
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怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» ありがとうございます! そうですめめです! ゆっくりですがこれからもお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年7月16日 21時) (
レス) id: 03141f9b41 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 移行おめでとうございます！次の加入組はめめですかね？今後の展開も楽しみにしています！ (2020年7月13日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年7月12日 15時
