キミが×んだ世界【歌い手】

代価 ページ8

志麻side


センラがうらたさんところに行った後も、Aを交えたカードゲームは続いた

またこうやって遊べるなんて……



自然に上がった口角に気づかないふりをして、カードとにらめっこをしているAを盗み見る


変わらない…

昔のAだ…

なにがあったのか知らないけど、これは俺たちにとって都合がいい

きっとAは、あの研究のことも、その後の出来事のことも覚えていないのだろう




坂田「なぁ、A。ここに来る前は何してたん？」


A「え？何って…数日前に目が覚めたら病院にいて、そらるさんがいて…退院したからここにきた」


坂田「病院！？どっか悪かったん！？」


A「ううん。疲労で倒れただけ。もう元気だよ！」




Aはそう言うと、えへへっと笑って見せた


病院か…

向こうで倒れたって言うなら、そらるさんが一緒にいるのわかるけど…

退院したからといってこっちに来る意味は分からない…

そらるさんは、Aの記憶が抜けているとわかったからこっちにきた…？

それなら合点がいく

だけど、うらたさんの様子を見るにAについて何も言わなかったのだろう

なぜ……？

伝えた方が良いにも関わらず言わなかった



A「あ、そういえば天月くんとまふくんは？」


志麻「…」


A「しばらく会ってないからなぁ…引っ越すって言ってたけど行先聞いてないんだよね」


坂田「あまちゅなら、いるよ…この先の部屋に。ただ、部屋から出てこないかも」


A「天月くんどうかしたの？風邪とか…？」


坂田「うん…まぁそんなとこ」


A「まふくんは？」




彼女がそう問うと、坂田は助けを求めるように俺を見てきた

正直に伝えるべきか悩んでいるのだろう

だけど…ここは後々俺らに協力してもらうために…



志麻「まふくんは別のところにいるんだ。明日にでもそらるさんに連れて行ってもらいな」


A「そっか。ありがとう志麻さん」


坂田「まーしぃ…」


志麻「…さ、ゲームしようぜ」




ごめんな…A…

でも―――



　




　




　



――――お前がしたことだ

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