episode38 ページ38
自分の知らないところ、もしかしたら聞こえる場所だったかもしれない。広まっていく自分の悪い噂に侑くんがどれほど傷つけられたかは計り知れない。
その噂を当時鵜呑みにしていた私も、間接的に彼を傷つけていた張本人で、目を合わせるのが怖くなった。
「……堪忍なぁ、いきなり意味わからん話してもうたわ!Aさんを困らせようとか、そんなつもりはなかったんやけど」
私が動揺しているのが伝わったのか、侑くんは申し訳なさそうに微笑んだ。
今までに見た事のないくらい優しい顔だった。
そうこうしているうちに気がつけば私の家の前についていて、侑くんも私も玄関の前に来ると足を止めた。
『えっと………』
「まあこんなこと言うてるけど、実際に俺が人格ぽんこつなんは自覚しとるし、何が言いたいかって言うと………」
侑くんは、
傘を持っていない方の手で私の腕を引っ張って
バランスを崩した私を胸の中に引き寄せた。
「俺が性格悪いって分かっても
こうして俺と仲良うしてくれて嬉しいってこと」
1つの傘の下でぎゅっと抱きしめられて
子供みたいな暖かい体温で
聞いたこともないようなか細い声で
「Aさんは特別な人やから、
せやから応援するって決めたって話や」
住宅街の中、侑くんの声は雨音に溶けて消えて行く。
ここまでされて気が付かないほど
私は鈍感じゃないよ、侑くん。
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赤羽 - うわああああこれ好きすぎる (4月8日 23時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
mia - 侑切ない…(´TωT`)侑とくっついて欲しいけど、北さんともくっついて欲しい…続き楽しみにしています!!これからも頑張って下さい!! (2020年3月24日 11時) (レス) id: 3bb55163e6 (このIDを非表示/違反報告)
もちねこ(プロフ) - りおなさん» いつもコメントありがとうございます!長編となりますが最後までお付き合いよろしくお願いします (2020年3月18日 0時) (レス) id: bf7fa3a49d (このIDを非表示/違反報告)
りおな(プロフ) - 今回もドキドキをありがとうございました…文化祭編も卒業編も楽しみにしてます(T_T) (2020年3月17日 0時) (レス) id: 3541b5b7c1 (このIDを非表示/違反報告)
もちねこ(プロフ) - 輝星さん» そんな風に言っていただけて光栄です…更新頑張らせていただきます! (2020年3月16日 1時) (レス) id: bf7fa3a49d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちねこ | 作成日時:2020年2月17日 18時