【宮侑】後輩に弱みを握られた【北信介】

episode37 ページ37

「俺ってイケメンやろ？」










フッフ、と笑う侑くん。確かにその顔は整っている上、高い身長と社交的な性格は、女の子にとって魅力的な存在だろう。












ナルシスト全開の侑くんはちょっと腹立つけど、否定もできない。コクリと頷いた。












侑くんは満足したようで、せやろーと笑った。

































「ほんで、俺は女子にとって良いステータスになるらしい」









そして、困ったように笑った。





















「俺の顔見て、強豪バレー部のスタメンって聞いて、俺の事なんにも知らんくせに告白してきて」












「そんでフラれたら俺のこと散々罵倒してきて、言い返したら陰口悪口、性格悪いのなんのってうるさいねん」






















宮侑という後輩の噂は、知り合う前からよく耳にする機会があった。









"宮侑かっこええけど、性格悪いらしいで"



"女の子が告白しても罵声あびせてこっ酷くフルらしいなあ"



"でもまあイケメンやから許されるんとちゃう？"












随分と重宝されているようで、どこか皮肉が含まれた噂話。









自分を好きになってくれた女の子に罵声をあびせるなんて、酷いことする人もいるんだなって友達と話したことを覚えている。













そんなのは、ただの噂話にすぎなかった。













「俺は罵倒されても、言い返すことは許されんらしい。言い返したら、俺が悪者扱いされるのがお決まりやねん」














酷いことをされていたのは侑くんの方だった。




辛いのは侑くんのはずなのに、誰もそれを知らずに真実を確かめもしないで広がる噂話。












怒っても良いはずなのに、侑くんは怒鳴ることも無く、悲しそうに話すだけだった。












「せやから俺、女子嫌いやねん」

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