episode44 ページ44
「お題は5文字の何か、ツムはフラミンゴの代替品や」
「フラミンゴって何やねん」
「そんな事よりはよ行けや、負けるで」
シッシッと治くんに追い払われると、ムッとした表情で私の方に向き直す侑くん。
急な展開にお互い動揺しているのは間違いないと思う。
それでも、
"真っ向勝負、やったれ"
ぽんっ、と
北くんに背中を押されたような気がした。
逃げ腰になってる余裕なんてない。
さて侑くん、
真っ向勝負だ。
『侑くん、私と一緒に来て。先輩命令』
一瞬驚いたような顔をしていたけれど、
真っ向勝負に答える奴というのは本当だったようで
「…先輩命令なら、しゃあないなぁ
やるなら勝つで？」
目の前でニヤリと悪巧みの顔を浮かべたかと思えば、突然の物凄い勢いで体が引っ張られた。
引かれる手、体感したことの無い速度で回る足、新幹線にでも乗ってるような気分。
私の手を掴んでゴールに走り出した侑くんは
出会った当初から相変わらず
ほんとに読めない後輩。
ほぼ同時に全走者がゴールに向かい始めていて、いわゆる接戦ってやつだった。
きゃぁぁぁあ！！と上がる女子の声は、声援なのか悲鳴なのか分からなかったけれど
その瞬間、少なくとも私達にとって周りの反応はどうでも良くて
1位でゴールして、はしゃぎながらハイタッチしてた侑くんと私はその辺の女子より圧倒的にうるさかったと思う。
遠い場所から治くんが
「似たもの同士」と笑っていた。
借り物競争も無事に終えて、各自テントに戻る中。
さて、ここからが本題
『侑くん、話したいことがあるの』
背の高い後ろ姿に向かって話しかけると、その足を止めて侑くんは振り返った。
「……奇遇やなあ
俺も今、同じ事言おうと思ってたとこ」
今なら言えるような気がした。
あの日話せなかったことを、お互いに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 950人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤羽 - うわああああこれ好きすぎる (4月8日 23時) (
レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
mia - 侑切ない…(´TωT｀)侑とくっついて欲しいけど、北さんともくっついて欲しい…続き楽しみにしています！！これからも頑張って下さい！！ (2020年3月24日 11時) (レス) id: 3bb55163e6 (このIDを非表示/違反報告)
もちねこ(プロフ) - りおなさん» いつもコメントありがとうございます！長編となりますが最後までお付き合いよろしくお願いします (2020年3月18日 0時) (レス) id: bf7fa3a49d (このIDを非表示/違反報告)
りおな(プロフ) - 今回もドキドキをありがとうございました…文化祭編も卒業編も楽しみにしてます(T_T) (2020年3月17日 0時) (レス) id: 3541b5b7c1 (このIDを非表示/違反報告)
もちねこ(プロフ) - 輝星さん» そんな風に言っていただけて光栄です…更新頑張らせていただきます！ (2020年3月16日 1時) (レス) id: bf7fa3a49d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もちねこ | 作成日時：2020年2月17日 18時
