◎ すきなことを ページ5
「……あ、いた！阿部ちゃん、阿部ちゃーん。」
楽屋に入ると同時に名前を呼んで、ペンを片手にノートに目を向ける彼の元に駆け寄る。
「Aおはよう。何、どうした？」
「阿部ちゃんおはよう。あのね、昨日寝る前に阿部ちゃんにおすすめしてもらった本読んだんだけど、この場面で使われてる数式の解説をしてもらいたくて。」
「お、読んでくれたんだ？いいよ、まずここのトリックはね、」
阿部ちゃんにおすすめしてもらったのは、天才数学者が殺人事件の謎を解くミステリー小説。おすすめしてもらえなかったら出会う事ができなかったかもしれない、と思うと、使われていた数式にすら興味がわいてきちゃった。
「またあべたむは難しい話してるの？呪文みたーい。」
「佐久間のアニメの知識だって、俺らからしたら呪文だよ。」
「にゃ、確かに。」
「今度私におすすめのアニメ教えて？」
「了解！Aにぴったりのアニメ紹介するであります！」
「いえい、楽しみにしてるであります！」
Snow Manは自分の好きなものを自分の武器にしているメンバーが多い。というか、みんなそれぞれ好きなものが明確なんだよね。
阿部ちゃんは勉強、ひかるはトレーニングの成果をSASUKEやクイズ番組というそのジャンルの晴れ舞台で存分に発揮している。翔太の美容や歌、館さんのお料理も然り。
ふっかのゲーム好きとさっくんのアニメオタクも、自ら発信することでお仕事に繋げているし、めめやらうみたいに自分に向いているもの、極めたいものがハッキリすれば芽が出ることもあるから、どんどん磨いてほしい。
こうじの写真は、思い出や記憶を形に残して、写真を見たたくさんの人に気持ちを共有できるところが素敵だよね。
こんなにも、好きな事を好きだと言えて、
好きな事を好きな様に続けられる。
当たり前に感じるそれは、当たり前じゃなくて。
何があるか分からないこの時代だから、
だいすきな9人といられる時間も永遠じゃないし、ね。
だからこそ、大事にしたい。メンバーも、時間も。
好きな事を、好きなだけ。
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作者名：は む | 作成日時：2023年3月5日 3時
