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「うぇえ…なんか変な味。」
ワインを一口飲むや否やすぐに顔を顰めた。
一日中はしゃいだというのにAは夜になっても元気だ。
ウェイターがくすりと笑ったのに気づいて恥ずかしがっている。
「子供にはまだ早かったか？」
「あなただってちょっと年上なだけでしょ。」
無理してぐいっと杯を呷いだ。そして咽せた。
「ふ、はは。」
目を潤ませてけほけほと咳き込みながらも笑う俺をきっと睨む。
コイツほどかわいい生き物を俺は知らない。
「ほらしっかり歩け。」
「ん。」
3月になったばかりで日も落ちた後は十分寒い。
それでも俺たちはわざわざ少し離れたところでタクシーを降りた。
酒で火照った体を冷たい空気が冷やしてくれる。
「あー楽しかった！」
「お、い！」
俺と手を繋いだまま軽やかなステップを踏み、細いヒールでターンしたAは後ろ向きに転んだ。
「危ない奴だな。俺がいなかったら頭を打ってたぞ？」
Aは全体重を俺の腕に支えられて頭は宙ぶらりんのまま。
まるでサルサのディップだ。
「えへへ…すごい……カイザーがひっくり返ってる…。」
「ひっくり返ってるのはお前だ。ほら起き上がれ。」
引っ張り起こして胸で受け止める。
「んぅ〜カイザー。ね、カイザー。」
俺のコートにすっぱり収まったままAは俺の名前を呼ぶ。
「何だ？眠いのか？もう少しで着くからあとちょっと…」
「ありがとう。」
「何だわざわざ…。」
「今年の誕生日はもっと寂しいと思ってた…。」
柔らかい髪を撫でると気持ちよさそうに目を閉じる。
「意外と寂しがりなんだな。」
「うん…でもあなたといると寂しくない。」
その後は眠たげなAの手を取って黙って歩いた。
外気は十分冷たかった。
なのに俺の火照った顔はずっと熱いままだった。
終わり
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神夜(プロフ) - 何度も読み返しても本当に素敵な作品で読むのが楽しいです♡復帰まってます♡ (11月20日 22時) (
レス) @page3 id: 7a3da2a4c7 (このIDを非表示/違反報告)
アキ - 81話くらいあったの消しちゃったんですか？悲しい(´;ω;｀) (7月27日 9時) (レス) @page3 id: b4d5d428cd (このIDを非表示/違反報告)
てね(プロフ) - sizukuさん» ありがとうございます❤︎のんびり更新致しますのでこれからも読んでいただけると嬉しいです！ (2023年3月31日 22時) (レス) id: bf2e82d7b4 (このIDを非表示/違反報告)
sizuku(プロフ) - 初コメ失礼します！このお話が始まった当初からずっと読んでいました！とっても自分好みの作品で、本当に大好きです！無理しないで、自分のペースで頑張ってください！ずっと応援してます！！ (2023年3月22日 15時) (レス) id: e0ce1464e4 (このIDを非表示/違反報告)
てね(プロフ) - 凛空さん» 嬉しいお言葉が過ぎます❤︎❤︎これからも読んでいただけると幸いです！ (2023年3月14日 22時) (レス) id: bf2e82d7b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てね | 作成日時：2023年2月18日 23時
