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着替えてからAは裾をヒラヒラさせて歩き回っている。

服が気に入って機嫌がいいらしい。

俺は今日もメイクをするAの横顔を眺める。

「いつもより丁寧だな。」

「そりゃそうでしょ。今日はちょっと特別な日だから。ね、これとこれ。どっちがいいかな?」

手には二つのリップケース。右は深みのある赤で左は透けるようなコーラルだ。

「…左、お前から見て右の方がいい。」

「わかった。」

正直どちらも似合うがこれ以上コケティッシュになられても困る。

塗り終わると薬指で下唇の縁をなぞる。

俺はこの仕草が世界で一等好きなのだ。

「今日は一日外を歩くから帽子を被っていくんだぞ?」

「ドイツでは日焼け美人の方が人気なのに…。」

と言いつつも素直にクロッシェを被るAの手を引いて外へ出る。

待たせてあるタクシーへ乗り込むと運転手が挨拶をした。

初老の男だと分かりひとまず安心する。

Aは帽子を膝に置きわくわく顔でパンフレットを広げている。

「私オペラって聞いたことない。古城も初めてだし日本には無いからすごく楽しみ。」

こんなに嬉しそうな顔をしてもらえるならAが望むならなんでも叶えてやりたくなる。それに叶えなかったことは今のところない。

歌劇場は品のある老夫婦が多くて若い俺たちは浮いていた。

すれ違う婦人に「綺麗ね。」と声を掛けられて照れながらお礼を言っていたAも歌劇が始まると大きな目を開けてじっと鑑賞していた。

プリマドンナには悪いが俺はほぼずっとAを見ていた。

見終わってAに感想を聞かれた時は心臓が飛び出そうだったが、当たり障りのない返事をしてやり過ごせて良かった

「お前は綺麗だな。」

「よく平気で言えるね、恥ずかしい人。」

ことあるごとに綺麗だと褒める俺をAはそう嗜めた。

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神夜(プロフ) - 何度も読み返しても本当に素敵な作品で読むのが楽しいです♡復帰まってます♡ (11月20日 22時) (レス) @page3 id: 7a3da2a4c7 (このIDを非表示/違反報告)
アキ - 81話くらいあったの消しちゃったんですか?悲しい(´;ω;`) (7月27日 9時) (レス) @page3 id: b4d5d428cd (このIDを非表示/違反報告)
てね(プロフ) - sizukuさん» ありがとうございます❤︎のんびり更新致しますのでこれからも読んでいただけると嬉しいです! (2023年3月31日 22時) (レス) id: bf2e82d7b4 (このIDを非表示/違反報告)
sizuku(プロフ) - 初コメ失礼します!このお話が始まった当初からずっと読んでいました!とっても自分好みの作品で、本当に大好きです!無理しないで、自分のペースで頑張ってください!ずっと応援してます!! (2023年3月22日 15時) (レス) id: e0ce1464e4 (このIDを非表示/違反報告)
てね(プロフ) - 凛空さん» 嬉しいお言葉が過ぎます❤︎❤︎これからも読んでいただけると幸いです! (2023年3月14日 22時) (レス) id: bf2e82d7b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てね | 作成日時:2023年2月18日 23時

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