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交際三年目_Silkroad ページ7

(なんだよ、ろくな番組やってないな…)

ゴールデンタイムを過ぎた時間帯のテレビは、絶望的につまらない。
一通りチャンネルを回し終えたところで諦め、見たくもない深夜ドラマで止め、リモコンを置いた。
さっき空けたビールに手を伸ばしかけると、玄関から物音。

(あ、帰って来た)

反射的に体は玄関へと向かう。
扉が開くと、疲れ切った彼の顔。

「おかえり」
「ただいま」

帰宅後の挨拶をすませると、そそくさとリビングへ行ってしまう。

(「遅くなってごめん」とかないわけ…)

思ってはいても、疲れている顔を見てしまったら口には出せなくて、喉元で押し殺した。

「ご飯は?」
「あ〜、マサイたちと食って来た」
「そっか…」

(作って待ってたんだけどな)

荷物を下ろすなり、パソコンを出し編集を始めてしまうシルク。
私は邪魔にならないように、と少し距離を空けそっと腰を下ろした。



なんだか最近彼との間に距離を感じるようになった。
別に気持ちが離れたとかそんなんじゃないけど、

なんか、

昔言えてたこととか、できてたことが、だんだんできなくなってる。

”好きだよ”って言ってくれたりだとか、
”おかえりのチュー”とか、

そんな些細なことでも、私は嬉しかったのになあ。


(交際三年目にして、倦怠期か…?)


「テレビ消そうか?」
「うん」

部屋に響くタイピング音。

「A」
「うん?」
「なんか、ごめんな」
「なんで?」
「最近忙しくて全然お前の相手してやれてなかったから」

思いもよらぬ彼からの謝罪。

「あ、いや、全然大丈…」
「大丈夫って顔してねえけど?」

むに、と頬を両手で挟まれる。
彼の顔が近くて、なんだか久々にドキドキした。

「あんまり我慢すんな。言いたいことあるなら言え。」

不器用な彼の言葉が、胸に刺さる。

「…ぅっ」
「おーい、泣くなよめんどくせえな〜〜」

彼の笑い声が反響する。
優しく涙を拭う彼に手が愛おしくて、さらに涙が溢れた。



「いつまでも私のシルクでいてね」

なんて、言わないけど。

シネマ_Eiji→←帰り道_Shibuya&Kanta◎リクエスト



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榮愛 - リクエストいいですか?水溜りボンドの二人書いてもらえますか? (2018年3月28日 8時) (レス) id: eebcc8fec2 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - すみれさん» 了解です!お好みのシュチュエーションなどはございますか? (2018年1月28日 17時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - おるたなの渋ジャパ下さいぃぃぃぃい(土下座) (2018年1月28日 17時) (レス) id: b2ee1e5041 (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - リクエストを書いてくださりありがとうございます!大丈夫です、バッチリキュン死しましたから( ̄▽ ̄)またリクさせてくださいm(_ _)m (2017年12月19日 15時) (レス) id: eb6c37d723 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - ぴちこさん» リクエストありがとうございます!大変申し訳ないのですが、説明欄に書いてある方のみのリクエストをお受けしております。せっかくリクエスト頂いたのに、お答え出来ず大変申し訳ないです… (2017年12月17日 23時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年8月10日 5時

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