照らして、《カンタ》niconoさんリク ページ29
下がる体温に、やっと目を覚ました私は、
隣に君がいないことに気づく。
君は、真っ白なシーツにほんの僅かな体温を残したまま消えてしまった。
慌てて体を起こして、ベランダから入り込む冷たい風に腕をさする。
「寒い…」
(君がいないから?)
(知らない、そんなこと)
カーテンの向こうの月明かりに手を伸ばす。
「寛太…?」
私の声に振り返る君は力なく笑う。
私は慌ててベランダに飛び出すと、君の手を握った。
裸足のままだけど、今はそんなこと関係ない。
「寛太…‼」
聞こえてる?私の声が。
君は今誰を見てるの?
ねえ…‼
「早く私を見て…‼」
早く忘れてよ、あの子のことなんか。
君は私から目を逸らしたまま。
(なんで黙ってるの?)
「ごめん…」
嫌だ。私はそんな言葉望んでない。
「俺、まだ…」
嫌だ。煩い。聞きたくない。
「忘れられない」
耳障りな君の声が、澄んだ夜空に溶けた。
歪んだ君の瞳に映るのは誰?
きっとまだそれは私じゃない。
_____________________
大切な人を亡くした痛みって、忘れられるものじゃないと思うんです。
一等星《はじめしゃちょー》るかさんリク→←猫カフェ《モトキ》フルさんリク
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クロハ(プロフ) - ありがとうございます…最高です… (2017年8月7日 14時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ - ありがとうございます(´;ω;`) (2017年8月4日 18時) (レス) id: 874f7f8e04 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - クロハさん» わかりましたー! (2017年8月4日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
クロハ(プロフ) - またまた失礼します(*´-`)エイジ君で甘めなのお願いできますか? (2017年8月4日 2時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - 翡翠さん» 本当ですか!そういっていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします! (2017年8月1日 20時) (レス) id: 60b5c0e445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年4月7日 21時