本、返してください。【名前変換オリジナル】

第７節 ページ9

「ねぇ、浩介からは、本、返してもらったの？」

昼休み、遥香が聞いてくる。

「それがね……」

　私は事の顛末を説明した。

　「へぇ、じゃあ、土曜日は、浩介とお家デートって訳ね」

　「は！？」

大声を出した上、座っていた椅子を盛大に倒してしまった。

　クラスメイトのほとんどが、こっちを見る。

　しかし、５秒もすれば、みんな興味は失せて、各々がしていたことに戻った。

　「そんなわけないでしょ。急に変なこと言ったから、めっちゃ驚いたじゃん！」

「あはは、ごめんごめん。ちょっと、からかってやろうと思ってね」

そう言って、ゲラゲラ遥香は笑う。

「もう、やめてよ」

若干怒って言うと、遥香は更に笑うのだった。


　「氷室ー、二年の先輩が来てるぞー。川上って人」

クラスのムードメーカーである山井が言った。

「ああ、その人、俺の部活の部長。ちょっと待って」

　「へぇ、部長直々とは珍しい」

遥香が驚いて言った。

「そうなの？」

「うん。男バスも女バスも同じルールで、部長が直々に連絡に行くのは重要な決定事項だけって決まってるの」

「へぇ……」

　氷室と、部長と言われていた人が喋っている。

　「何喋ってんだろうね」

「女バスの遥香に分かんないんだったら、私にも分からないんじゃない？」

　喋り終わったとき、氷室が真っ青な顔でこっちを見た。

　……嫌な予感。

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