兵長には内緒�� ページ4
陽が昇り、目が覚めた兵長は、やることが山積みだと、早々に部屋を出て行った――…
……―――――。
『そんなわけで、レオン、お願い。ソルムも』
ﾚｵﾝ「…本当にやんのか？」
ｿﾙﾑ「もし兄貴にバレたら…」
レオンもソルムも、不安の色を浮かべ、少し怯えている。
私は、そんな２人を
『安心して。もしもの時は、２人を怒らないように、私がちゃんと兵長に説明するから』
ﾚｵﾝ「…頼むぞ。それでなくても俺は…――」
レオンが少し頬を染めて俯いた。
――『外に連れて行って欲しい』
昨日の夜、レオンに話を聞いてもらった後、お願いした。
兵長の許可が無いとダメだと言い張るレオンに、濃厚なキスをして「兵長に言う」って脅して、強行突破した。
目的はふたつ。
レオンの想いを利用する形になるけど、仕方ない。
―――――……。
私は、今朝ここに辿り着いたサシャに、シャワーを浴びるのを手伝ってもらった。
兵長が首に巻き付けたシーツを取った途端、サシャが驚愕の表情になって、初めて首筋と胸元の無数の赤い痣に気がついた。
これ、兵長も見たよね…。
だから、あの時怒ってこんなグルグル巻きに…。
駐屯兵の同期に借りたワンピースに着替え、スカーフも借りて首筋を隠し、マントで胸元も隠した。
……―――――。
私は、レオンに抱きかかえられ、車椅子に乗せてもらい、意外とすんなり兵舎の外に出ていた。
目的地の広場まで、トロスト区の街を通ってきたけど…。
あの日、壊滅的打撃を受けたトロスト区は、どこもかしこもボロボロで、それでも、ここを離れられない沢山の住民が、廃墟のように見える建物で、細々とした生活を営んでいた。
辛い記憶と向き合うことで消化しようと思った。
街並みを見れば、否が応でも記憶は呼び覚まされる。
うん。
大丈夫。
もう、ショックで記憶後退なんてしない。
手首の傷を握りしめて目をつぶった。
ﾚｵﾝ「ユズア？平気か？」
『…うん。平気。ちゃんとあの日を受け止められる』
広場に辿り着いたけど、人気は無い。
レオンとソルムがいるから、大丈夫だよね。
『じゃあ、レオン。お願い』
ﾚｵﾝ「…あぁ、無理はするなよ。ダメだと思ったら、すぐに戻るからな」
『うん。よろしく』
私が伸ばした両腕をレオンが支えて立たせてくれる。
支えがあれば、何とか立ち上がれる。
私は兵長には内緒で「リハビリ」を始めた――…
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢梨(プロフ) - 柚杏さん» 柚杏様。ご質問に質問で返して申し訳ないのですが、夢主の名字は既に作中で何度か出て来ております。これからのお話の中で、フルネームを名乗るのか…？と言うことでしょうか？ (2018年3月18日 3時) (
レス) id: b5e7379311 (このIDを非表示/違反報告)
柚杏(プロフ) - 夢梨さん» 夢主ちゃんの名字的なものってこれから出ますか？ (2018年3月18日 2時) (レス) id: 1c1d4e63b6 (このIDを非表示/違反報告)
夢梨(プロフ) - エリカ・アッカーマンさん» エリカ・アッカーマン様。お話を全て読んでいただきありがとうございます！真綿とこの話の兵長とは少しだけ性格を変えている事に気づいてもらえて感無量です(///∇///)どちらも隙を見て(笑)話を進めたいと思いますので、ドキドキしてもらえたら嬉しいです(*´ω｀*) (2018年2月21日 7時) (レス) id: b5e7379311 (このIDを非表示/違反報告)
エリカ・アッカーマン(プロフ) - 夢梨さんの小説全部読ませてもらってます！ほんっとに面白いです！更新大変だと思いますが、楽しみにしています！！この作品の兵長も、真綿の兵長も好きです！リヴァイ推しですがハンジさん、エレンも好きで、夢梨さんと似てて小説読みながらウハウハしてます！ (2018年2月21日 1時) (レス) id: 662e10d996 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢梨 | 作成日時：2018年1月17日 13時
