39 薄闇の未来 ページ37
逃げる事は叶わない温もりを受け止めながら、文官長の目的を探る。
そもそも、宿舎の部屋もこの一室しか準備されていなかった。
「文官長…あのっ…」
私の呼びかけで、胸元に愛撫を施していた文官長の動きがピタリと止まる。
「二人きりの時は名前で呼べ。君に名前で呼ばれたい」
「どうして…？」
そこまで私に固執するの？
私はエルディア人なのに…
「距離を縮めるには手っ取り早い方法だろう」
「距離…？」
「そうだ。心の距離だ」
心の距離を縮める…？
それって…
「ぁ…ゃ…」
「いい声だな…もっと聴かせてくれ」
首筋に強く吸い付かれて、堪らず控えめで甘い声が漏れる。
どういう意味なのか思考を巡らせても、煽ってしまった文官長の熱い唇に乱されて、何も考えられなくなっていく。
どこか余裕のない、焦りすら含んだ文官長を必死に受け止めているこんな状態の時に、
かつての恋人だったポルコとの情事を思い出した。
甘く激しく、愛に満ちた幸せすぎる時間が蘇る。
目尻から一筋、涙が零れ落ちていった。
私…やっぱり…ッ
『ポルコに愛されたい』
素直な想いを口にする事は許されない環境で、ずっと押し殺していた感情が溢れ出した。
一度蓋を開けてしまえば、後戻りが出来なくなる。
だからこの４年間、厳重に封じ込めていた。
文官長の体温に揺らされながら
視界の端に映ったランプの灯りが歪む――…
「では、これにて調印式を終了致します！」
やっと終わった…
翌朝の調印式は一時間くらいの式だったけれど、何時間も経った気がした。
昨夜の激しい行為で身体がだるい。
求められるまま彼の全てを受け止めたから…
当の本人であるハーマー文官長は未だ席に着いたまま、周りの高官や外交官と会話を楽しんでいる。
文官長の背後の壁際に控えて待っている間、少し俯いて髪で顔を隠し、気づかれないようにチラリと視線を横に流した。
そして、ゆっくりと息を吐き出す。
実は調印式には、名誉マーレ人である戦士達も同席していた。
十数メートル先に見えるポルコとライナーの姿を、つい目で追ってしまう。
４年前のあの頃みたいに今もあの二人の傍に居られたら、どんなに幸せだろうか…と考える自分が悲しい。
目の端に映るポルコとライナーは、自信に満ち溢れてとても輝いて見えた。
私はもうあの光の中には入れない。
眩しすぎて…居場所なんて、ない…
「A」
「はい」
ハーマー文官長の声に反応し、サッと顔を上げて彼の背中を追いかける。
私の行く先は、どんなに前に進んでも未だ薄闇の中だった――…
*
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夢梨(プロフ) - sato711825さん» コメントありがとうございます！意外とポルコ推しさんがいてくれてほっとしています。場面が思いついたら更新していますので、お付き合いいただけると嬉しいです(*´∀`)♪ (2021年4月22日 16時) (
レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
sato711825(プロフ) - 続きが見たいでえええす！！！！ポルコ推しなので私得ですっ！ (2021年4月21日 1時) (レス) id: 2b67c28291 (このIDを非表示/違反報告)
夢梨(プロフ) - Ronnyさん» コメントありがとうございます！ライナー好きさんがいてくれて安堵しました(*´ω｀*)頭の中に浮かんでいる言葉や場面をまとめるのに時間がかかりますし、期待に応えられるか自信もありませんが、何とか読者様が没入できるお話を書きたいと思います(*^^*)♪ (2021年4月11日 15時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
Ronny(プロフ) - あああああああどうなるんだ!!!!ポルコもライナーも好きだからつらいw次の更新も楽しみに待ってます! (2021年4月10日 23時) (レス) id: d499d51969 (このIDを非表示/違反報告)
mitsuyuu0907(プロフ) - 夢梨さん» お返事ありがとうございます。そうです。ポルコ落ちのお話を作っていただきたいです！本当にポルコの夢小説少なくてポルコ不足なんですよね_(´-`_ _)_よろしくお願いします！ (2021年4月5日 21時) (レス) id: a8ac705c71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢梨 | 作成日時：2021年1月16日 19時
